2018.05.24

女性へのアプローチに「縦型動画」が効果を発揮する理由

ライブコマース、Instagramなど、利用が急増中!縦型動画の“いま”

情報検索、ショッピング、ゲームなど、生活の必需品とも言える存在となったスマートフォン。従来は横型が主流だった動画も、ここ数年、スマートフォンのサイズに合わせ、縦型動画を目にする機会が急激に増えました。

もはや“定着した”とも言える縦型動画ですが、そのニーズとは現在、どのようなものなのでしょうか?

縦型動画の先駆者であり、日本最大規模の女性向けメディア、「C CHANNEL」を運営する C Channel株式会社の広報 浜内久乃さんにお話を聞きました。

目次

現在も高い、縦型動画のニーズ

浜内久乃さん
C Channel株式会社の広報 浜内久乃さん

――「C CHANNEL」といえば、縦型動画をイチ早くスタートした企業として知られています。現在は、本格的にYouTube(横型動画)へも参入されているようですが、その理由を教えてください。

女性向け動画メディア「C CHANNEL」は、“女性の「知りたい」を1分で解決”というコンセプトのもとスタートしました。当初は短尺のものがメインでしたが、現在はニーズに合わせ、長尺(10分前後)の動画もあります。

また、ブログを書く人をブロガーと言いますが、「C CHANNEL」では動画を投稿するユーザーを“クリッパー”と呼んでいます。同メディアを運営していくなかで、人気のクリッパーが何人も生まれました。そうした背景からYouTubeにも参入することを決めました。

人気クリッパーのひよんさんは、6万人以上のフォロワーを持ち、YouTube上の動画も人気が高いそう。またアプリ「C CHANNEL」からYouTubeへのリンクボタンを設定することで、YouTubeへの誘導も図っている

――では、「C CHANNEL」では、今後も縦型動画が中心に配信されていくのでしょうか?

はい、その予定です。 現在、縦型動画を採用しているのは、ユーザーが普段使用している状態で動画が閲覧できるようにするためです。あくまでユーザビリティを考慮してのことですから、ニーズが変われば、形を変えていくこともあるかもしれませんが、縦型動画の傾向がますます強まると思っています。

――縦型動画はある意味で、“スマホ専用動画”とも言えると思いますが、 縦型動画の方がユーザビリティは高いのでしょうか?

「C CHANNEL」のユーザーは現在、大半がスマートフォンで閲覧していますから、縦型動画の方が見やすいと言えると考えています。また調査をしてみると、実は若い女性の多くは、YouTubeもスマートフォンを横に倒さず、縦にして見ていることがわかっています。最近人気のInstagramの“ストーリー機能”も縦型動画ですよね。現状、 縦型動画のニーズは続くと考えています。

また、PCから閲覧できるウェブサイト上でもスマートフォン同様の縦型動画を配信していますが、ページのレイアウトなどを変更することで、見やすいように設計しています。PCユーザーにもストレスなく、縦型動画を楽しんでほしいと思っています。

PC版「C CHANNEL」の動画再生ページ

自撮り風、“さくっと見られる”がキーワード

――若い女性に刺さる縦型動画ですが、コンテンツの向き不向きはありますか?

単純に縦横比が異なりますから、ファッションを見せるのであれば、全身が入る縦型の方が向いているでしょうし、 きれいな風景を見せたいのであれば、横型の方が向いているでしょうね。あとは大人数ですと、縦型動画の場合入りきりませんので、自ずと横型を選択することになると思います。

特に女性は、ファッションへの関心が高いですから、ファッションと相性のいい縦型動画も自然と支持されたのでしょう。縦型動画が登場する以前も、SNS等で縦型のファッションスナップ画像が多くあがっていましたし、「ファッション=縦」のイメージも浸透している印象があります。

ちなみに、「C CHANNEL」では自撮り風に撮影するケースも多くあります。

顔だけを映し、ユーザーに話しかけるように展開する自撮り風動画は、ラフな雰囲気で、非常に人気の高いコンテンツのひとつです。ファンを持つタレントやクリッパーの動画ですと、ユーザーと距離の近い動画であることが好まれているポイントだと考えています。

――人気コンテンツのなかに、縦横があまり関係のない「恋愛カテゴリー」が入っている点は興味深いですね。

「C CHANNEL」 のコンテンツはすべて「HOW TO」が中心ですから、恋愛カテゴリーの動画も“ちょっとためになる恋愛HOW TO”です。それを、ユーザーはどんなときに見ているかというと、「隙間時間に見ている」ケースが多いんです。

つまりニーズとして、電車の移動中などの空いた時間に“さくっと見られるもの”が求められているわけです。そのなかで恋愛カテゴリーの動画は、一種の「あるあるネタ」のような内容ですから、ターゲットの対象も広く、気分転換に見ているユーザーも多いようです。

恋愛カテゴリーの動画の例(PC版「C CHANNEL」

――では、縦型動画を制作する上で重要なポイントはどこにあるのでしょうか?

そうですね。あくまで「C CHANNEL」に限っての話ですが、ユーザーは「知りたい」という動機を持って動画を再生していますから、いかに早く、端的に「答え」を知れるかが重要になります。その点を意識した動画でないと、最後まで見てもらえない傾向にあります。

現在、若い女性たちにとって、スマートフォンがあることは“当たり前のこと”です。調べたいことがあれば、すぐに検索するのが当たり前ですし、写真を撮ってSNSに投稿することも当たり前です。生活の一部にスマートフォンがあるので、彼女たちが見やすい動画を作ることは、「C CHANNEL」にとっての“当たり前”でもあります。

選ばれるためのサムネイルとは

――実際、若い女性をターゲットにした縦型動画を多く作成する上で、注意すべきことはありますか?

いまの若い女性たちは、非常にスピーディーに画面をスクロールし、瞬時に情報の取捨選択を行い、気になったものだけをクリックして閲覧しています。そのなかで、“目に留まるコンテンツ”を作るためには、内容も大切ですが、サムネイルやタイトルがとても重要です。弊社のコンテンツでは、サムネイル用の静止画を別に撮影することもあるほど注力しています。

商品素材の撮影風景
C Channelの社内にはスタジオがあり、撮影を自社で行っている(写真は商品素材の撮影風景)

――最後に。今後、縦型動画はどのような展開を見せるとお考えか聞かせてください。

中国で火が付き、日本でも浸透し始めている「ライブコマース」。これはアジア各国共通で、どの国も縦型動画で配信しています。特に中国でのライブコマース市場は非常に大きく、日本でも市場拡大が予想されています。今後さらに、縦型動画の利用は増えていくのではないでしょうか。

「C CHANNEL」は現在、アジア圏を中心に10ヶ国でサービスを展開中です。これからも世界各国、多くのユーザーに選ばれる縦型動画をお届けしていきたいですね。

浜内久乃さん

「C CHANNEL」が登場してわずか3年で、縦型動画の利用は一気に拡大しました。特に若い女性に対して親和性の高い縦型動画は、今後も新たなコンテンツ、サービスを生み出す源泉となりそうです。

Written by:
BAE編集部