2018.10.15

2Lines|動かすべき顧客は2つのラインをリアルに行動している

デジタルマーケティングをはじめる人に聞いてほしい、3つのはなし 第2回

Photo by Kim Gorga on Unsplash
この連載では、秋入社の方や、部署異動等でこれからデジタルマーケティングに関わる方や、そもそもデジタルマーケティングって何なの?という方に向けて 「忘れちゃいけない大前提」、「困ったときに立ち戻れる道標」をお伝えしていきます。
第2回は、「2Lines」をテーマに、企業が顧客へアプローチし、顧客にとって価値のあるコミュニケーションを行うために必要な「ONLINE」と「OFFLINE」の両立の重要性についてお届けします。

目次

お客様はどこにいるのか?

上の図はあくまで一例ですが、生活者が行動している場所と、その時に接触しているメディアやサービスを現しています。普段の生活を振り返って頂ければ当然かもしれませんが、PCやスマートフォンから利用する「デジタル=ONLINE」上の様々なサービスを利用している一方で、コンビニエンスストアやイベント会場など「OFFLINE」上においても、多くのものに触れながら私たちは生活しています。
例えば、古くからあるダイレクトメールは目的や商品の特性によって、今も「1 to 1(One to One)」コミュニケーションとして十分有益なツールですし、また従来のマス広告、店舗や会場で提供されるサンプリング商品やインセンティブなどももちろん大きな効果があります。
それでは、新しい顧客にアプローチし、コミュニケーションをとりたいと思った時、私たちはこの「2Line」のどこに、また、どこから手を付けるべきなのでしょうか?次の図を見てみましょう。

とあるビジネスマンが「PC=ONLINE」で調べものをしながら仕事をし、アフター5、自分の「スマートフォン=ONLINE」で趣味の情報を調べながら、「電車=OFFLINE」で移動し、「飲食店=OFFLINE」で家族や恋人と食事をする。よくある生活のワンシーンですが、こうしてみると、顧客は「ONLINE」と「OFFLINE」を常に行ったり来たりしながら生活していることが改めて分かります。私たちがお客様とコミュニケーションをとる時、どちらか一方では不十分になってしまいますので、まずはターゲットとなるお客様の生活や行動をしっかりと理解した上で、それ踏まえたコミュニケーン設計を行うことが必要になります。

(改めて)お客様の“顔”、見えていますか?

第1回で、顧客と最適なコミュニケーションを図るために、実際に会うことの出来ない顧客に対して、データを活用してひとりひとりの“顔”を「見える化」することの大切さをご説明しました。確かに、「ONLINE」上では様々なデータを取得できそうです。では、「OFFLINE」はどうでしょうか。
上の図では、「ONLINE」の私の“顔”はしっかり見えていますが、「OFFLINE」の私はぼやけてしまって誰だか分かりません。つまり、「ONLINE」上のデータは十分に揃っていますが、「OFFLINE」での施策にそのデータが活かされていない、連携されていない状態です。これでは、例えば私がとあるメーカーのECサイトで頻繁に買い物をする優良な顧客であったとしても、私にぴったりな商品をおススメするダイレクトメールを送ることはできませんし、実際の店舗やイベント会場に足を運んでも、スタッフは誰も私が優良な顧客であると気付いてくれないかもしれません。その時、私とそのメーカーは、良質なコミュニケーションを築けていると言えるでしょうか?

この図のように、「ONLINE」と「OFFLINE」とでデータが活用・連携され、しっかり私の“顔”が見えていれば、ECサイトでの購入履歴データをもとに、最適なおススメ商品を掲載したダイレクトメールを私の自宅に送ることが出来るでしょうし、来店ポイントサービスやチケッティングサービスのデータと連携することで、スタッフが私のECでの購入履歴を把握したうえで対応することが可能になるかもしれません。さらに、逆に「ONLINE」のサービスである各SNSや会員メールマガジンは、私が実際の店舗に足を運んだことを知ったうえで次のメッセージ(例えば、来店の感謝やその店舗のセール情報など)を送ることが出来るようになるでしょう。こういった良質なコミュニケーションを継続していくことで、私のメーカーとの関係性はより良いものになるはずです。

「ONLINE」と「OFFLINE」の両立へ

“デジタル”マーケティングであるからといって、私たちが目を配らなければならない領域は「ONLINE」だけではありません。「ONLINE」と「OFFLINE」、両方でお客様の“顔”を見えるようにしておくことによって初めて、2つのラインを行き来するお客様のリアルな生活に寄り添い、より豊かで価値のあるコミュニケーションが可能になるのです。

日々新しいサービスを利用し、複数の施策が同時並行で進行するデジタルマーケティング業務において、ターゲットとなるお客様の生活・行動を「ONLINE」と「OFFLINE」両面でしっかりと理解し、さらに、「ONLINE」で見えたお客様の“顔”=データが、「OFFLINE」でも活用・連携できているか、この「2Line」で“顔”を見ることができているかを常に意識し、定期的な確認と点検を行うことが必要なのです。

さて次回は、「3Plans」と題しまして、見つけた顧客を動かし、繋がり続けるために必要な考え方についてお伝えします。

高橋 潤平

株式会社電通テック データドリブン・マーケティング室 デジタルマーケター

デジタルキャンペーンやオウンドメディアなどの企画制作・運用に従事した後、 現在はあらゆる顧客接点データから生活者一人ひとりとの 最適なコミュニケーションを支援するLINE活用サービス開発を行う。

LINE ビジネスコネクト活用プラットフォーム「1/0ワンゼロ」
SNSマーケティングサービス「SC121」

Written by:
高橋 潤平