2017.01.04

電通テック×Chalk Digital(第1回)

「位置情報」は「個人情報」ではない?位置情報にまつわる誤解と、プロの本音に迫る!

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  • はじめまして、電通テックです。

    突然ですが、皆さんは「位置情報」を活用していますか?

    近年、「位置情報」を活用したスマートフォンアプリが日本国内でも広がりを見せています。瞬く間に話題となった人気ゲーム「ポケモンGO」のほか、乗換案内アプリや天気予報アプリにも、位置情報を使って現在地を検知する機能が搭載されています。
    スマートフォンの位置情報取得には主にGPSが利用されており、取得した位置情報は上記のようなさまざまなサービスのほか、広告配信にも活用されています。

    今回は、ますます活用の幅が広がっていく「位置情報」をテーマに、弊社パフォーマンス・マーケティング部の榎本と、弊社の開発パートナーであるChalk Digital 雪江氏との対談の様子をお届けします。

    左より弊社マーケティングディレクター 榎本真、株式会社Chalk Digital Inc. 雪江悟氏
    榎本 真 Enomoto Makoto/中央大学卒、1993年電通テックに入社。外資化粧品、大手自動車メーカーなどの統合プランニングや自社のデジタルメディア事業の開発等を経て、現在ではマーケティングディレクターとして社のデジタル戦略策定を行う。デジタル・マーケティングセンター センター次長 兼 パフォーマンス・マーケティング部 部長。

    雪江 悟 Yukie Satoru/上智大学卒、1992年米国でMBA取得。サンディエゴでワイヤレステクノロジーやモバイルアプリケーションの開発に携わったのち、2012年に共同設立者の一人としてChalk Digital社を設立。位置情報を活用した正確性・即時性の高いモバイル広告配信プラットフォームを提供している。Chalk Digital Inc. 共同創業者。

    日本と海外における位置情報活用の違い

    雪江

    さて、日本でもポケモンGOが流行して、スマホのGPSをオンにしている人が増えましたが、海外では日本以上に自分のスマホの位置情報を提供している人が多いのです。海外のユーザーはナビゲーションサービスを頻繁に使うので、多くの人は常にGPSをオンにしていますが、一方、日本だと、位置情報の提供に対して抵抗感がある人も見受けられますよね。

    榎本

    サラリーマンとかは私も含めて、経路案内を見ながら移動している人もよく見ますし、私の場合はいちいちGPSをオフにするという意識がなくなっちゃっています。でも、必要なときにだけGPSをオンにして、それ以外のときにはオフにするという人もいます。

    雪江

    何ででしょうね。プライバシーに関する情報が間違って伝わっているのでしょうか。よく、自分の個人情報が流出する危険性がある、といった情報が出回っていますが、実際には、ユーザーのプライバシーを侵害するような情報が広告主に提供されるといったことはありません。
    ただ、最近は日本でも地図を見ながら歩いている人もよく見ますし、だんだんと位置情報を提供することへの抵抗感がなくなってきているのではないでしょうか。

    榎本

    あと、私の場合は自分の子供の位置情報を見てますね。

    雪江

    見てますか?実はアメリカだと逆に抵抗感があるんですよ。位置情報は個人を特定できる情報であってはいけないという原則がありますが、家族の位置情報だと「誰が」「どこに」いるかがわかってしまうので、プライバシーの侵害にあたると考えられています。例えば、嫁の行動を旦那が見るっているのは、米国では訴訟対象になる可能性もあると思いますよ。

    榎本

    訴訟対象にまでなるんですね。

    雪江

    プライバシーの侵害になると思いますよ。まあ平均3回離婚する国ですからね。(笑)

    榎本

    子供が今どこまで帰ってきているのかが分かるので、迎えに行くことができない親としては安心感がありますね。

    「位置情報」は「個人情報」ではない

    雪江

    最近気になるのが、位置情報とプライバシーについて、企業のほうが過敏に反応しているということです。アプリ会社などは、位置情報取得はプライバシー侵害だという認識があるみたいで、実際はプライバシーに関わる情報には一切タッチしないのですが、アプリの開発者のほうが過剰に反応している可能性はありますね。

    榎本

    たとえば、あるアプリがGPSで位置情報を取得する仕様にした時に、アプリの仕様に詳しいユーザーが調べると、どうやら自分の位置情報が抜かれているらしい、ということが分かって、それを掲示板などに書き込みます。そうするとそのアプリ自体の評価が下がってしまうので、アプリ開発会社の社長としてみれば、それは避けたいですよね。

    雪江

    かなり日本独特の考え方だと思います。企業ルールでいろいろとプライバシーに関しては取り決めがあるのだと思いますが、実際には事業者が意図的に個人情報と結び付けない限り、位置情報から個人を特定することはできないですけどね。
    「位置情報」と「個人情報」が微妙なところで混同されているような気がしますね。「誰が」「どこにいる」なんてことは実際には分からなくて、いわば「記号」がどこにあるかが分かるだけですから。

    榎本

    広告を配信する対象も、「特定個人」ではなくその「記号」ですからね。たとえばあるエリアにその記号が出現したときに、その「記号を持つ端末」に対して広告を配信する、と言った感じです。そのあたりが正しく伝わらないとちょっと辛いかもしれません。

    雪江

    そうですね。日本にはまだそういったことに対して過剰に敏感になりすぎているところがあるのだと思いますよ。

    榎本

    だからポケモンGOみたいなエンターテインメント仕立てにしてあげると、それを楽しむために自分は能動的にGPSをオンにしているんだ、と納得が行くのだけれども、知らない間に抜かれているという感覚が嫌なんですよね。勝手に位置情報を抜かれて、広告配信に利用されているという。

    雪江

    そうですね。世の中の傾向としてはそういったゲームもどんどん出てきているし、開発している人もたくさんいます。位置情報を使った面白い情報や、位置情報を使ったSNSなども一般的になってきているので、全世界的に位置情報提供への抵抗感は少なくなってくると思います。問題は、その位置情報を広告主がどう使うか、です。

    大切なのは、位置情報広告のメリットに気づいてもらうこと

    雪江

    最近のアメリカだと、来店者のスマートフォンにそのお店の広告が出てくるようになってきています。たとえばそのお店がいま10%OFFセールをやっているといったことがその場で分かるので、かなり便利ですね。つまり結局のところ、位置情報の提供を許可するのは「便利だから」という理由が大きいからではないでしょうか。ユーザーがそういったメリットを享受できると分かっていれば、抵抗感も少ないですから。

    榎本

    日本でも、ユーザーのメリットが明確に見えてくれば、ユーザーも納得感を持って位置情報を提供するようになるということですね。

    雪江

    そうですね。全く自分に関係のない広告がしつこく出てくるよりは受け入れやすいですよね。たとえばあるブランドのブリーフケースを買うと、しばらくカバン類の広告が出るじゃないですか。でもあれって、もう買っちゃってるのにしつこく出て来るので、腹が立つことがありますよね。もうこのブランドは買わないようにしようかとまで思ったりします。(笑)
    それに対して、お店に入ったらそのお店で今すぐ使えるクーポンがもらえるのであれば、かなり明確にユーザーにとってメリットがありますよね。

    榎本

    逆に、位置情報を提供するデメリットはありますか。

    雪江

    デメリット?何でしょうかね……。先ほども述べたように、自分の個人情報が流出するわけではないので、要は思い込みですね。やはり業界全体として位置情報に関する悪いイメージが先行してしまっているところが問題です。

    榎本

    ユーザー自身、もっと自分の位置情報をどういう風に能動的に使っていこうというマインドセットができていないので、自分の位置が「バレる」みたいなネガティブなイメージばかりがついてしまっているのかも。
    でも自分の位置情報を提供することの見返りとして、有益な情報が得られるわけですから、そういう方向に全員が向いていけばいいのに、そのマインドセットがない中でネガティブな情報ばかりが飛び交っているのが問題ですよね。

    雪江

    独特なマインドセットですよね。アメリカだと、GPSに対してのネガティブな意見というのは主にバッテリー消費です。デメリットを挙げるなら、それくらいでしょうか。
    とは言え、バッテリーも容量が大きくなっていますし、モバイルバッテリーなどで充電もできるわけだから、それほど大きなデメリットにはならないですね。

    榎本

    どういう使い方をするとどんなベネフィット が得られるか、頭で整理されていないのが現状ですね。

    雪江

    そうですね。日本ではまだ実際にそうしたメリットを享受できている人が少ないのかもしれません。だからこれからは、ユーザーにとって本当にメリットのあるプロモーションを我々がどんどん発信していく必要があるということです。

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    Written by:
    野口 洋人