2021.06.24 「ガチャ広告」って何だろう? 「タニタ」と「パンダの穴」がコラボをして広告になるガチャ商品を開発 #エンタメ #クリエーター #デザイン #商品開発 CREATIVE特集:TEC SOLUTION ガチャの商品でありながら企業の広告にもなっている「ガチャ広告」。今回は体組成計やタニタ食堂で有名な株式会社タニタと株式会社タカラトミーアーツから販売されているガチャブランド・パンダの穴がコラボをした「今日は何キロ?」という商品の制作過程とともに「ガチャ広告」について考察していきます。実は、タニタ側の担当者は何とTwitterの中の人になります。お楽しみに。 【座談会メンバー】 〇株式会社タニタ Twitter の中の人 〇株式会社電通テック パンダの穴・クリエーティブディレクター 飯田雅実 〇株式会社タカラトミーアーツ ガチャ企画部 分野大介 目次 コラボのきっかけ パンダの穴のプレゼン内容 発売後の反応は? 通常の広告との圧倒的な違い ガチャとSNS は相性が最高 海外戦略について 次回作の可能性は? コラボのきっかけ 飯田 先日、タニタさんとパンダの穴とのコラボ商品「今日は何キロ?」が発売になりました。ガチャ商品でありながらも広告としても成り立っていて、これは「ガチャ広告」と言ってもいいのではと思っています。そもそも、このコラボ企画はどのような経緯で始まったんでしょうか。 タニタ もともとは私どもの方でガチャガチャをタニタの商品として出したいなと考えていたのですが、さすがにちょっと難しいということがわかりまして、以前、ダンボーと企業Twitter がコラボした取り組みをさせてもらったのがタカラトミーアーツさんだったので、ご相談をさせていただきました。すると、すごくいいですねって言ってもらえて、この企画がスタートしました。 株式会社タニタ Twitter の中の人 飯田 あ、そういう経緯だったんですね。では、タニタさんからタカラトミーアーツさんに話がいきまして、アーツさん社内では最初にどんなことを話されていましたか。 分野 お話をいただいた後に、タカラトミーアーツのガチャとして何が作れるか考えていたんですけども、ガチャの市場的にはタニタ製品をそのままミニチュアにするのがわかりやすいかなと考えていました。でも、何かもう1 つ踏み込んだガチャができそうだなと。であれば電通テックさんと一緒にガチャを作っている「パンダの穴」というエッセンスを入れることで、実在製品のミニチュアではなくて、ガチャとしての新しい面白さが発見できるような商品が作れるんじゃないかと思いまして、電通テックさんと一緒に考えてみようよ、と会社の中で話し合った感じですね。 株式会社タカラトミーアーツ ガチャ企画部 分野大介 飯田 ここでパンダの穴が出てくるんですね。タニタさんはパンダの穴のことはご存知でしたか? タニタ はい、知っていました。シャクレルプラネットとか、考えない人とか、自由すぎる女神とか、有名でしたよね。 飯田 ありがとうございます(笑)。 タニタ すごく気になっていました。この企画の話をいただいたときも、まさかあの「パンダの穴」とコラボができるなんて、と感動しました。 飯田 タニタさんとのコラボのお話をいただいたときの印象ですが、パンダの穴は8 年前からスタートしていまして、実は始めから企業さんとコラボをして商品を作りたいと思っていました。なぜかと言いますと、ガチャは薄利多売なビジネスではありますが、その多売という部分が広告になるのではと思っていました。また、商品を買っていただいて、それが広告になるというのもガチャでしかできないんじゃないかと最初から思っていました。やっとこういった話が来たなと、すごく嬉しかったのを覚えています。 株式会社電通テック パンダの穴・クリエーティブディレクター 飯田雅実 パンダの穴のプレゼン内容 飯田 では、この流れでプレゼンの内容をお話ししますと、まずはタニタさんというと体組成計が非常に有名なのと、あとタニタ食堂さんで健康に配慮した食事を提供されているという、やはり健康をテーマに世の中に良い製品やサービスを出しているイメージがすごくあったので、そういったところもメッセージにできないかなと思っていました。実はその頃、健康診断の数値がちょっと良くなくて「体重を減らしてください」と言われまして、健康診断の帰りにタニタさんの体組成計を買いまして、それから毎日体重を量ってるんですけども、そういった実体験が何か企画のメッセージになりそうだと考えていました。タニタさんの製品に動物が乗っているイメージは、最初の段階からアイデアとしてありまして、そこで「毎日体重を量ろう」ということをメッセージにすれば広告になるのではと考えました。 飯田 さらに、ガチャにはミニパンフレットがついていまして、タニタさんの商品とガチャの商品をブリッジする役割としてこのミニパンフレットが重要で、動物そぞれにストーリーをつけまして、人間のような生活をしている動物たちが少し体重にまつわる悩みを抱えているというシュールな設定なんですけども、そのストーリーの中でタニタさんの商品特性も同時に語っていくというような内容のプレゼンを、確かしたような覚えがあります。プレゼンの内容はこんな感じでしたが、タニタさんの方では何か作りたいガチャの企画とかありましたでしょうか。 ミニパンフレット タニタ 最初はやっぱりタニタのプロダクトに焦点を当てたものがいいなと考えていました。例えばですけど、実際に重さが量れちゃうような仕掛けがあったらいいなとか、疑似的に。アナログで、「カシャ」って動く感じの。それがさらに重さじゃなくて別の評価軸、幸せ度とかでもいい。とにかくタニタのプロダクトみたいなものが、フックになったガチャができたら面白いなとか妄想していました。そんな中いただいたアイデアがすごくわかりやすくて、引きが強いとされるかわいらしい動物が人みたいにヘルスメーターに乗っているシュールさが面白かったです。ご提案いただいた瞬間に、もうこれが一番いいなと。実はこれ以外にも色々ご提案いただいたんですけどね。 飯田 そうですね。10案以上ありました タニタ このガチャの企画を推進するように弊社の社長から指示を受けていたのですが、そのときに企画書をちょっと見せたんですよ。そうしたら、「どれも素晴らしい。我々には想像もできないアイディアに溢れている。こういう企画をされている人はやっぱり違うな」というふうにすごく感銘を受けていました。社長もその気になっちゃって「カバとかは体組成計が壊れているようにしよう」とかって言うんですよ。 一同 (笑) 飯田 重くて壊れているんですね。 タニタ そうそう。「壊れているってことにしちゃったらいいじゃん」とか言うんですよ。ちょっとその辺はバランスを取りたかったので、説得しましたけど(笑)。そんなノリノリの感じで、社内、特にトップは「好きなようにやりなさい」と言ってくれたので、非常に進めやすい案件でした。その中で、この企画がすごくシンプルにいいなって思って、こちらでお願いしたという経緯ですね。 飯田 従来ですと私はパンダの穴では商品化などのジャッジメントをしなければいけない立場なので、企画出しには一切参加しないことにしています。ですが、今回は企業さんとの取り組みということで、あまりにもエッジが効きすぎて箸にも棒にも掛からなくなる可能性もあるので、1案だけちゃんと商品広告にもなる案を作ろうと思い、1案だけ参加しました。 分野 エッジ効いてましたね(笑)。 タニタ 相当効いていましたね。でもそれも「すごい、やっぱりいい」って社長が絶賛していました。 飯田 そうですか。第2、第3弾と今後も続けていきたいですね。分野さんは最初企画を見たときはいかがでしたか。 分野 我々だけだとライセンス契約をして、ちゃんと企業のPRになるようにと、すごく優等生的なところに着地しそうになりがちですが、何かそこに面白さのエッセンスを足すときに、ガチャ業界の外側からアイデアを持ってきてくれる方というので、今回電通テックさんと一緒にやろうということになり、お声掛けさせていただいて、初め企画を見たときは、「これエッジ立ってるな」って(笑)。 せっかくなのでタニタさんに企画を持っていったら、「いいですね」というコメントもいただいて。 タニタ 何だったかちょっと覚えていませんけど、すごかったのだけは覚えています。インパクトがありました。 分野 すごく太ったゾンビがいたり。 飯田 あと、あなたの言葉が重いとかもありましたね。 タニタ そうそう、そういうのもありましたね。 分野 その中でこの企画は面白さと真面目さのバランスを保っていたので、すごいなと思いました。しっかりとコンセプトはあるんだけど、ちゃんと面白いというのは、我々だけの力では組み立てきれないところがあったので、ご協力をいただき、こちらとしてはありがたかったです。 発売後の反応は? 飯田 そういった経緯で世の中に出ました。世の中や社内の反応はいかがでしたか。 タニタ そうですね。弊社の場合は、こういったものが出るっていうことを社内で告知しているのですが、「タニタの製品は買ったことないけど、これは買った」っていう社員がいました。 一同 (笑) 飯田 あ、そうですか。それは嬉しいですね(笑)。 タニタ ちょっと社長には報告しにくい(笑)。 飯田 このガチャもタニタさんの商品といえば商品なんですけど(笑)。 タニタ そうなんですけどね(笑)。体組成計なんかは会社から社員に配られたりしているので購入する機会がないのかもしれませんが、ガチャが初めて購入するきっかけになるというのは結構面白いかなって。 また、弊社も体組成計のデザイナーがいて、監修をお願いしたのですが、出来上がったときには、そのデザイナー自身が「すごくイメージ通りになっている」と言っていまして。 飯田 ここは分野さんが頑張ったところですもんね。 分野 ありがとうございます。 タニタ デザイナーのこだわりが強くて。 飯田 いやー、難しいですよね、これ。 分野 生産工場もよく頑張ってくれました。 タニタ 例えば表示部の再現度がすごい。もうちょっとわかりにくくなるかなと思っていたのですが、出来上がってみると、ガッツリ鮮明に出ているので驚きました。 分野 かなり特殊な作り方をしています。 タニタ そうなんですね! 飯田 ちなみに動物の体重を一応調べて、その体重に合わせて作っています。 タニタ 実際の体組成計で量れるマックスの体重を超えているんですよね。本当のマックス秤量は200kg なのですが、「超えちゃっているんだけどいいのか」っていうことを、社内で議論しました。弊社の社員は真面目で、こうした企画でも精度にこだわるという。 飯田 動物は成長の過程で徐々に大きくなるので、そのどこかの過程の体重と言えばある程度の体重の幅は大丈夫ではないかと。 タニタ そのあたりは世界観というか、そちらを大事にしたいという意向を私の方からお伝えしまして。社内はそういったことで納得していると。 飯田 実際にガチャを購入された方がタニタさんの本当の商品を持っていて、その商品の上にこのミニチュアを置いて、SNSにあげている方も結構いらっしゃいますよね。 タニタ そうですね。今回の商品は、結構流通しているので、実際にお持ちの方も多いんじゃないかな。 飯田 そうですよね。 タニタ 馴染みがあるというか、見たことあるなっていう感じのものもあったのではないかと思います。 飯田 社長さんの反応はいかがでした? タニタ 自分で買っていましたね。 飯田 そうですか。素晴らしい。 タニタ こだわりがあるみたいで、以前の「Twitter×ダンボー」のときもそうだったのですが、近所のスーパーに行って全部回して買い占めてくるという大人買いをして「シークレットが出たぜ」とか言って自慢するんですよ。今回も買いに行っていましたね。さすがに全部回すのはどうかと思いますけど(笑)。本当に楽しんでいました。 飯田 ガチャって回して出すのが楽しいんですよね。 タニタ そうですよね。 飯田 あと、社長自らガチャをすることでユーザーの方の気持ちがわかるというのもあるかもしれないですね。 分野 ガチャは本当に色んなところに設置させていただいているので、目の前で回してくれているお客様を見ると嬉しくなりますよね。 タニタ 私も目の前で買っている人を見ました。二回くらい回していたのですが、体重計じゃないんだろうな、動物欲しいんだろうなって(笑)。 分野 両方です(笑)。 飯田 ガチャ業界としてこういった、半分玩具で半分広告みたいな企画と通常の企画と違うところは何かありますか? 分野 そうですね、ここ最近は企業さんとの取り組みでミニチュアをいくつか作っています。どの企業さんともいい取り組みをさせていただき、ミニチュアもかわいいし、自分の持ってるものと揃えたいという方や、逆にミニチュアが先に出たから、この商品も欲しいよねみたいな、相乗効果というのはよく話が出ます。 分野 あとはお客様のアンケートの返事ですとか、SNSの反応を見ると、やはりガチャのメインターゲットは、若い男女の20代から30代ぐらいのところで、自分で使えるお金も多いですし、好きなコンテンツにそのお金を使えるというところが特徴ですね。また子供向けの商品も、もちろんあるんですけど、それと別のところで今回面白いなと思ったのが、もう少し上の40代から50代ぐらいの方もSNSに上げてくれていて、ちょっと今までのガチャと違うターゲットが狙えてきたし、そのターゲットと家族の子供層が狙えてきたりと、アニメとかタレントとかにお金を使うお客様とは違う層が、ガチャの方を向いてくれたのが結構新しいと感じました。 飯田 健康に気を遣ってる方々がこの商品をたまたま街で見掛けて、何か親和性と言いますか、自分との共通点みたいなところで買われている方が確かにSNS では多かったですね。 分野 この商品を見て「今日体重量り忘れた」という100点満点の回答をSNS でされている方がいらっしゃって、嬉しかったですね。あとすごくいいなと思ったのが、ガチャとかフィギュアってインテリアとして飾って完結しがちですが、この商品で初めてできたのが、メッセージを伝えることで、これを買って置いて見たときに「あ、健康意識しなきゃ」とか、「運動しなきゃ」というメッセージが入ってくる商品ってなかなかなくて、アニメのフィギュアだったらとりあえずキレイに飾ろう、カッコイイなって見るだけなんですけど、行動を呼びかけるメッセージが伝えられるというのは面白かったですね。 飯田 「毎日体重を量ってね」というのを、この動物たちが言ってるみたいな。 分野 それがすごいなと思って。 飯田 素晴らしい。広告として機能していますね。 分野 そうなんです。多分それはミニパンフレットも効果的に働いていて。これってカプセルに一緒に入っていて、商品の説明書とか使用上の注意とか、ラインナップはこれが入っているという情報をお客様が確認する機能がメインですが、今回はちゃんと1つのストーリーができていて、これをわざわざ読み込んでSNSにアップしたり、という動きが生まれたんですけど、なかなかない構造だったなと思って、ここへのこだわりというのも新しいチャレンジで、凄く機能したなっていうのは思いましたね。 飯田 このミニパンフレットは、例えば小数点第2 位まで量れる商品の場合は、なぜか小数点第2 位が大好きなパンダという設定にして商品へ繋げていくという、シュールなストーリーを考えました。でもこのミニパンフレットが結構大事かなと思ってました。 分野 これあるとないとでは、全然この動物たちの見え方が変わってきますよね。 飯田 あと毎日、ご自分の体重の数値を、この動物たちの写真を背景にアップしている方がいらっしゃいましたね。 分野 行動を起こす理由になりますよね。 かわいい子がいるから毎日撮ろうかなとか。 通常の広告との圧倒的な違い 飯田 この商品は、純粋な玩具でもなく、これまでの広告でもない。非常に面白い立ち位置の商品だと思ってまして、今までの広告活動と何か違った点はありましたでしょう か? タニタ 弊社は、そんなに広告を打たないんですよ。新聞とかラジオでたまにやるぐらい。SNS が一番力を入れていますね。あとはもともとある人気のコンテンツやアニメ、ゲームのキャラクターをお借りして商品を新しく作っています。キャラクターの声が出る体組成計とか、そういった新しい切り口で、お客様にファンになってもらおうという取り組みが多いのですが、今回の企画は、弊社のプロパー商品がそのままの状態でコラボするという初めての取り組みで、非常に新鮮でした。正直に言うと、そこまで広告効果を期待せずにやっていました。あわよくば、好きになってくれればいいなぐらいのレベルでやっていたんですよね。それが、先ほどのSNS の投稿を見ると、みんな買ってくれてるし、自分なりの楽しさを見出して、いじってくれている。結果的にすごく良かったし、「さすがパンダの穴だ」って思いました。あ、期待しすぎないっていうのは、もともとポリシーとしてありまして。気にしないでください。 一同 (笑) タニタ なので、良かった。本当に結果が出ている案件だなぁというふうに思いました。 飯田 通常の広告ですと、クライアントさんがお金を出してメディアを買ったり制作会社に広告制作のお願いをしますが、今回の場合は企業さん側のお金の負担がないというところが、ものすごく画期的かなと思います。ですが、全ての商品や全ての企業さんで成り立つということではもちろんないですよね。その辺は分野さん、最低限これだけの数が受注できないと、なかなか難しいなというのは当然あるかと思いますが、いかがでしょうか? 分野 そうですね。やはり何十万個というのを目標に、それぞれ商品を作っていますね。 飯田 なので、全てが商品になるわけではないですが、今回はタニタさんにもともとブランド力があるというのと、体組成計というガチャの商品になったときに見応えのある商品が対象というところで成立していると思います。 タニタ 弊社の社長が言っていたのですが、この商品をベースに、何か他のキャラクターを乗せてもいいんじゃないかって。そういった使い方をしてもらうのが、一粒で二度美味しいみたいな。そうした展開ができたらなって意図もあったので、このあたりはユーザーさんの楽しみをもっと出してもいいかなと。 飯田 あともう一つ、圧倒的に通常の広告との違いがありまして、それは、お客様がお金を出してこれを購入されているというところです。それによって、商品に対する思い入れですとか、深度といいますか、そういうところが、違うだろうなと思っています。あと広告の宿命ですが、例えばテレビのCMですとか街で見掛けるポスターとかあります。一瞬にして目の前から過ぎ去ってしまいますが、これは手元に置いてもらえるというのが、通常の広告と違うところかなと思います。そこに新しい可能性をすごく感じます。ずっと目の前に商品があるというのは面白いと思います。 分野 平面じゃなくて、立体で目の前にありますから。 飯田 そうですね、そこは大きい。 分野 触って、感じて、遊べるのが面白いですね。 飯田 はい。あとはご自分でタニタ製品を持ってらっしゃる方は、ミニチュアと比べて楽しめるという、そういうマニアックな楽しみ方もできるかなと。 タニタ いるのかな、そういう人。 一同 (笑)。 分野 体組成計マニアにはたまらないでしょうね(笑)。 ガチャとSNS は相性が最高 飯田 あと、ガチャの特徴としてはSNS とのマッチングがすごく良くて現代のコミュニケーションツールとも言えると思います。ガチャはもともと広告予算がないので広告はほとんどしません。ガチャファンの方はネットで情報をチェックして狙って購入されている方が半分と、もう半分は一期一会で、その場でパッと見て面白いなと思ったら購入されます。ですので、購入された方が「こんなの見つけたよ!」とSNS で発信していただけるので自然な拡散に繋がりやすいと思います。ですが、売れてるガチャの商品は、なかなか出会えなかったりしますよね。 分野 ガチャはサイクルがすごく早いので、数か月で棚がガラッと入れ替ります。今だと毎月200 商品ぐらい出ていますね、うち以外のメーカーさんも含めて。 飯田 すごい数ですね。 分野 年間、何千アイテムの中から見つけて出会うというのは、やはり一期一会だと思います。 飯田 なので、たまたま面白いものが見つかった場合、高い確率でSNSに投稿してもらえるのも、ガチャのいいところかなと思います。あとユーモアというものをアピールできるのもガチャの特性だと思っていまして、タニタさんの場合はSNSで非常にエッジの効いた投稿をされていて、ユーモアという部分はアピールできていますが、企業によっては、こういったことは普通はやらないような真面目な企業が、なぜかガチャという面白い商品を出すことによって、この会社って意外とユーモアのセンスがあるんだなとか、ユーモアのアピールみたいなものに繋がっていくのも、この「ガチャ広告」の特徴の一つかなと思っています。 海外戦略について 飯田 あと、もう一つありまして、これはタニタさんも言われていたことですが、海外戦略ですね。現在はコロナ禍になってしまい、本来でしたら空港ですとか、あと今年は五輪もあるので多くの海外の方が日本に来られると予想して、当初はそこも狙っていましたが、この点はコロナという予想もしていない展開となってしまいました。しかし、日本のガチャは海外でも売られていまして、台湾などアジアの一部の地域などで販売をしているので、アジア圏での海外戦略にも活用できるかなと思っています。タニタさん、そのあたり最初、結構言われてましたよね。 タニタ そうなんですよ。社長からのミッションの一つが、ワールドワイドに展開していくプロモーションをするようにということだったのですが、ガチャの性質として、例えば空港で購入されるとか、お土産で購入されるという話を伺っていたので、そこで展開できると、そのミッションを達成できるなと思っていました。結果的に台湾で販売していただけることになり、こちらも社内的に評価されたので、ありがたかったですね。 飯田 結果はこれから徐々に出てくると思います。 分野 そうですね。何万個という数が台湾の市場に入っているので、もう少し時間が経つと数字や状況が見えるかなと。 飯田 タニタさんのことを知らない台湾の方が、これを機会に知ってくれる可能性もあるかなと思いました。その他でガチャ特有のいいところ、悪いところ、などありますか? 分野 先に企業のことを知って、そこの商品がミニチュアになって、これ欲しいというような感じで、もともとガチャを買わない人、定期的に買わない人たちを新しく取り込めるのが醍醐味だなと。 飯田 なるほど、ガチャ業界からの視点ですね。双方にとってメリットがありますね。さて、今回は我々にとっても初めての経験でしたが、非常にいいスタートを切れたかなと思っています。またタニタさんとご一緒したいですし、他の企業さんとも「ガチャ広告」に興味ある方がいましたら、ご一緒したいと思っています。 次回作の可能性は? 飯田 最後になりますが、今後タニタさんとタカラトミーアーツさんとパンダの穴で第2弾などの話はどうでしょうか? タニタ・分野 ぜひ。 分野 今回の商品のパート2でもいいですよね。今回拾えなかったところの歩数計を持って走っている動物ですとか。 タニタ タニタ商品は結構地味なものが多いですけど、なんとなくネタにはしやすいから。 分野 あとは、タニタ食堂さんとやりたいですね。食品の方でも色々できるので。 飯田 ああそうですね。もし何かコラボができたらいいですね タニタ 食堂がコロナで営業しにくくなっているから、そういうこともできるといいですね。 飯田 また何かご縁がありましたらよろしくお願いいたします。 ということで、本日はどうもありがとうございました。 タニタ・分野 ありがとうございました。 タニタTwitterの中の人 株式会社タニタ新事業推進部 Twitter公式アカウント担当 新規事業や他企業とのコラボ企画などに携わる。 現在フォロワー数は32万人を超え、ツイートをきっかけとしたコラボ商品を数多く実現させ、現在もつぶやきながら複数の企画を進行している。 飯田雅実 株式会社電通テックパンダの穴・クリエーティブディレクター 広告領域のクリエーティブ全般の企画・制作を行いながらコンテンツビジネスの開発にも取り組んでいる。2013年にガチャブランド「パンダの穴」をタカラトミーアーツと立ち上げる。また、空港ガチャ「JAPANESE CAPSULE TOYGACHA」では多数広告賞を受賞。 分野大介 株式会社タカラトミーアーツガチャ企画部 ガチャ(カプセルトイ)の企画、開発に10年以上携わり、様々なキャラクターや企業とのコラボ商品を開発している。ストーリー性のあるミニチュアシリーズ「ガチャぶんのいち」を中心に、SNSで話題性のある商品を多数生み出している。 Written by: BAE編集部 関連記事: ガチャのキャラクターが絵本になるまで(前編) 事業課題から寄り添うクリエーティブ なぜ、ガチャは50年も生き残ったのか?(前編)