IoT(Internet of Things/モノのインターネット)という言葉を耳にする機会が増え、音声認識サービスやウェアラブルデバイスも日常生活に浸透し、企業のビジネスモデルも急速に変化しています。IoTは私たちの生活にどのような変化をもたらし、マーケティングやプロモーション領域でどのような新たな価値を創出できるのか。IoT業界の識者の知見からそれをひもとき、プロモーションの未来を探ります。
最終回の第5回は、IoTに欠かせない部品である、タッチセンサー、磁気センサーなどの各種センサー電子コンポーネット販売からIoTソリューション提供まで行う株式会社PALTEK 林さんに、IoTのプロモーション活用に採用できそうな多彩なセンサーと、その活用事例についてお話を伺いました。
株式会社PALTEKは、半導体製品、電子コンポーネント類の商社です。
プロモーションやマーケティング業界では、なかなかCPUや精密機器の部品にはなじみがないと思いますが、例えば、最新iPhoneの端末に入っている、メモリ、CPU、電源、そして多くのセンサーと、かなりの割合の部品を私たちでも扱っています。
また、メインの販売に加え、より付加価値を付けた展開としてSORACOM と提携したDIYキットをリリースしたり、IoTデバイスの受注開発も行っています。
IoTには、情報をインプットするセンサーが必須です。「タッチセンサー」や「ジャイロセンサー」など、皆さんもよく耳にするようになってきたセンサー名がいくつかあるでしょう。今回は、弊社で扱っている幅広いセンサー群からコンシューマ分野での利用がさらに期待されるものをいくつか紹介していきます。
基本機能:ひずみを検知
活用事例:着席などを検知
プロモーション活用案:歩き方の可視化ができるソール、スポーツの体重移動が可視化されるマット、寝相が分析できる布団シートの開発
「ひずみセンサー」は、ゆがみ、ひずみを検知するものです。面が曲がると電気の抵抗値が変わることを利用したセンサーです。
利用事例としては、ベンチに敷き詰めればどこに人が座っているか、移動したかなどをトレースするのに使えますし、服の肘がどのくらい曲がったかということを計ったりできます。また、布団の下に敷き詰めれば寝姿勢や寝相がモニター、記録でき使い方は様々です。
基本機能:超音波の反射で物体などを検知
活用事例:障害物の検出、自動運転
プロモーション活用案:ビールを美味しく飲むためのビールサーバーの開発
最近のクルマでは車庫入れをするときに警告が鳴るようになりました。これには「超音波センサー」が使われています。
送波器と受波器のセンサーで、送った波長に対して戻ってくる波長によって距離を算出することができます。例えば壁が近くに来ると、短い時間で音波の反響が返ってきますので、距離が近いぞとわかるということです。アイデア的にはいろいろなものへの応用が期待できます。
基本機能:傾きを検知
活用事例:姿勢・動作検知
プロモーション活用案:ビールを美味しく飲むためのグラス開発
「ジャイロセンサー」もスマートフォンに搭載されているため名前がよく知られるようになりました。ものの傾きや移動を検出することができるセンサーです。
セグウェイが二輪なのにバランスを保てるのは、このジャイロセンサーを使った補正が行われているためです。また最近ではクルマの自動運転の開発シーンでも、姿勢制御へ使われるなどされています。
そういった工業製品でなくとも、ジャイロセンサーのプロモーション活用としては、例えば「ビールジョッキの傾きでどこまで飲んだかがわかり、自動的におかわりを準備する」なんていうこともできるかもしれません。ビールつながりでいえば、「流量センサー」というものがあり、もともと水などの液体、空気の流れる量を計測するセンサーですが、これを組み合わせれば、自動的に常に満タンになるビールサーバーも作れます。
基本機能:画像の検出
活用事例:顔認証、店舗の人の流れを把握
プロモーション活用案:イベントや店舗内における来場者の状況分析など
デジタルカメラのイメージ生成に使われる「イメージセンサー」も再び熱い注目を浴びています。
最近、監視カメラなどの映像を元に、顔や年齢性別まで自動判別している様子をニュースで見たことがあるかもしれません。そういった場面で使われているのが高性能のイメージセンサーです。iPhone Xの顔認証もそうです。大手の店舗やビルなどではすでに人の流れを記録・分析するのに利用されている場所があります。例えば、イベント会場の来場者分析などに使うといったこともあるでしょう。
基本機能:匂いを検知
活用事例:周辺の匂い検知
プロモーション活用案:芳香剤や消臭剤の匂いを検知端末の開発
そして最後は、まだ未知の要素が多いのですが「臭気センサー」というものもあります。
周辺の匂いを検知するセンサーで、検知した匂いに合わせてなにかアクションを戻すということが可能になりますが、現在の問題は、匂いの内容をどこまで判別できるかという点です。おいしいラーメンとゴミ袋の匂いの違いがわかるようになれば、もっと多くの分野で利用されるようになりそうなセンサーです。
——様々なセンサーがありますが、多くのものが低価格で利用可能とのこと。同じ商品やサービスでも、取り付けるセンサー次第でアウトプットは変わります。様々なセンサーを組み合わせれば可能性はより広がっていくと考えられます。ありがとうございました!
(BAE編集部)
株式会PALTEK SA ソリューション ビジネスユニット
ビジネスユニットディレクター 林俊成氏、会澤 春樹氏、平賀 翔貴氏