フォロワーが少ないものの、特定ジャンルでの影響力が高いとされるナノインフルエンサーに注目が集まっています。
今回は、このナノインフルエンサーを活用した新たな取り組みにチャレンジされているHEAPS.株式会社の代表取締役 春日原 森氏にお話を伺いました。
SNS発「ソーシャルダイニング×若手天才シェフ」をコンテンツ化
日本では“民泊”が盛り上がりを見せている昨今、アメリカでは“民食=「ソーシャルダイニング」”が人気なのだとか。その第一人者は、名門コロンビア大学を卒業したばかりでモデルもしたことがあるという、Jonah Reider(ジョナ・レイダー)氏。
幼い頃から料理好きだった彼は、学生寮で「サパークラブ」という小さな個人ダイニングクラブをスタート。SNSでじわじわと人気を広げ、WEBメディア『HEAPS』でも大きな話題となりました。創作性に富んだ料理そのものにとどまらず、「レストランではない」「フリーランスで」、そして、「その場でしか味わえない(初対面の)客同士のインタラクティブな会話を追求する」といった彼の思想と流儀が人々を惹き付けたのです。
先日、このJonah氏を招待し、今やなんと“予約4,000人待ち”の「サパークラブ」を再現したイベントが開催されました。Jonah氏個人や「ソーシャルダイニング」に関心のあるナノインフルエンサーたちを募り、イベント参加を通じて自身の体験と共感を発信してもらう、という仕組み。
「興味関心のニッチ化が進む今、それらをコンテンツ化し、その分野で影響力のある人たちが“自発的に実体験できる場”を用意する。さらに、体験自体を“参加者同士で共創していくプロセス”を組み込む。この条件から発信される情報は強い」と、春日原氏。
体験を通じたリアリティのある共感が、さらなる共感を呼ぶ
ナノインフルエンサーのフォロワーは1,000人~1万人ほど。ただ、フォロワー数では勝るマイクロインフルエンサー、トップインフルエンサー、さらに上位のタレントインフルエンサーよりも、フォロワーのSNSアクティブ率が高いといわれています。
ニッチなジャンルに精通した投稿を行う人が多く、フォロワーからは専門家的な信頼を寄せられているため、エンゲージしやすいのです。
基本的に職業インフルエンサーではないナノインフルエンサーは、自分の意志が強く、納得しなければ(お金でも)動かない人たちです。だからこそ、彼らに「コンテンツへの深い関与を通じて“自分なりのストーリーと共感”を完成してもらうこと、それを“リアリティのある言葉”で語ってもらうこと、が重要」そして、「その信頼できる投稿こそが、フォロワーたちの疑似体験と共感を増幅させるのです」と、春日原氏は語る。
ミレニアル世代が求める「クリエーティブでソーシャルな体験」
今、『HEAPS』が注目しているのは、自由でクリエーティブな感覚を持ち、社会活動にも積極的なナノインフルエンサーたち。ミレニアル世代と価値観を共有できる人たちと言えそうです。
「ソーシャルダイニング」のJonah氏の場合も、既成のシェフ像にとらわれない、その生き方や働き方がミレニアル世代を魅了しました。
ちなみに、今後、具体的にはどんなジャンルが来そうなのでしょうか‥?その問いに春日原氏は、
「HEAPS.は、社会を少しだけでも良くしようという強い信念を持ってユニークで、クリエーティブなやり方で、社会の課題に果敢に挑戦している人たちを取り上げているので、ジャンルは色々有り得ると思います。クラフトマンシップやDIYのようなモノ作りもあれば、ゲリライベントやタクティカル・アーバニズムのように街を舞台にムーブメントを起こすといった活動も有り得ると思います」
もちろん、インフルエンサーは目的やターゲットによって使い分けていくことが必要ですが、ミレニアル世代に向けてナノインフルエンサーを活用する場合、「クリエーティブでソーシャルな体験」というのは、ひとつのヒントになりそうですね。
- Written by:
- BAE編集部