2017.12.12

「SNS映え」の最新トレンドは、「動き」と「アナログ体験」

SNS拡散の仕組みづくりから見えた、拡散される“絵づくり”とは

企業が自社商品やサービスのプロモーションをする上で、いかに情報をSNSで拡散してもらうか、頭を悩ませている方も多いはず。イベント会場などでのSNS施策を主な事業とされる、株式会社SnSnapの京野邦貴さんに、そのノウハウを伺いました。

目次

いかに来場者のSNS投稿を促すか

2015年に設立された株式会社SnSnapは「#SnSnap」という、イベント会場などに設置される機材のレンタルサービスを提供する会社としてスタート。来場者が会場で撮影した写真を特定のハッシュタグを付けてSNSに投稿すると、写真がオリジナルのフォトカードとしてプリントアウトされ、お客さんはプレゼントとしてそれを持ち帰れる仕組みです。

株式会社SnSnapのアカウントプランナー・京野邦貴さん。

「企業様がイベントを開催されたり、新しい店舗をオープンされたとき、来場者の方に写真や動画を撮ってもらって、たくさん拡散してもらいたいですよね。ですが『撮影する→SNSで拡散する→プロモーションに触れた後の交流』という一連の流れの中にはいくつもの壁があります。この高い壁を乗り越えて、アクション(SNSへの投稿など)を促すための仕組みを考え、提案することが私たち取り組みです。
#SnSnapは、フォトカードをもらえるまでの過程に、利用者側での撮影と、その場でのSNS投稿という行動が組み込まれているのが強み。さらに、こちらで設定したハッシュタグを付けてもらうことで、イベントのハッシュタグを統一できるのもポイントです。お客さんが思い思いのハッシュタグで投稿すると、拡散効果が半減してしまいますからね」

フォトカード

設立当初は機材のレンタルだけを事業としていたそうですが、いかにお客さんたちを巻き込んでいくかの施策を提案するうち、現在では、フォトブースの設計のほか、SNSを活用した企業のキャンペーンやブランディングの手伝い、インフルエンサーのキャスティングなど、SNSを起点に幅広く事業展開されるようになったそうです。

時代は「ムービー」、そして「体験型」に

世界的なファッションブランドや大手飲料メーカー、スポーツチーム、地方自治体など、幅広い企業と提携しているSnSnapさん。これまで600件以上のイベントに機材を提供してきたという同社が、最近のSNSトレンドとして感じるのが写真(フォトジェニック)から動画(ムービージェニック)へのシフトだそうです。

「2017年は“動画映え”するコンテンツが企業様からも来場者さんからも好まれました。弊社でも、最近人気なのが#SwingSnapという機材。複数のアングルから撮影することで、一瞬のシーンを切り取ったユニークな3Dフォトを生成することができるものです。」

 
  

京野さんは#SwingSnapでの成功体験から、SNSで拡散してもらいやすいコンテンツについて、次のように分析します。

「インスタグラムなどのSNSに投稿したときに『こんなの見たことない!』とフォロワーに驚いてもらえる、つまりいいねがしてもらいやすいコンテンツは来場者さんに人気ですね。他人が撮れない写真(動画)であることは、ポイントだと思います。
また、#SwingSnapの例で言いますと、好評の理由は単に面白い絵が撮れるからというだけでなく、エンターテインメント性の高いアトラクションとしての魅力も挙げられるかと思います。
例えばある企業様のブースでは、撮影する瞬間に両側から羽をパッと投げ入れるという、敢えて“アナログ”な要素を取り入れたんですよね。羽が舞い散る空間に囲まれたドラマチックな3Dフォトを撮影できるのですが、この事例では羽を投げるという体験そのものを楽しんでいただけました。
企業様からしても、その楽しい体験込みでブランドに愛着を持ってもらえるという観点で喜んでいただけています」

満足度の高い体験は、思わずSNSに投稿したくなります。動画を意識した「動き」のある絵づくりはもちろん、「体験できる」という要素もSNSに投稿してもらう際のヒントとなりそうです。

押し付けないコミュニケーションが大事

動画にしろ、静止画にしろ、企業がSNSを活用したプロモーションをする時は、その世界観をユーザーに押し付けないことが大事だと京野さんは言います。

「例えばフォトブースも、企業のロゴを大々的に押し出すデザインは必ずしも得策ではありません。これは特にインスタグラムに関して言えるのですが、投稿した写真や動画が並ぶインスタグラムのウォールは、そのユーザーさんのこだわりの世界観が反映された、例えるならば一冊のアルバムなんです。コスメやアパレルなどブランドそのものに価値がある場合は例外として、そのロゴが出ることによって、世界観を邪魔してしまうと判断される場合は、自社のロゴを強調することは避けたほうがいいかもしれません」

SnSnapさんと様々な企業とのコラボ事例

「最近では、インスタグラムの“ストーリーズ”機能が人気ですが、ストーリーズが若者たちに支持を得ているのは、世界観を気にせずに気を張らずに楽しめるからだと思います。特にインスタグラマーの方たちは、撮影をしてもその場では投稿しないで、家に持ち帰ってしっかりと加工をしてからようやくアップするという方も多くいらっしゃいます。
統一された世界観を壊したくないので、ウォールに投稿するのはある意味で勇気がいる行為。ストーリーズはアップされてから24時間で消されますし、自分の感情や体験をそのまま投稿できるので、その気軽さが受けているのでしょうね。

それぐらいウォールというのは完成された場所かと。特にインスタグラマーを意識した施策を行う場合は、ターゲットの世界観に寄り添った絵づくりを意識するとよさそうですね」

イベント会場の飾り付け、フォトブース、はたまた商品のパッケージなど、あらゆるものが「SNS映え」を意識させられる時代。 クリスマスや新年などSNS投稿が活発となるタイミングがこれから続きますが、SNSへの投稿、拡散を狙いたいなら、今回のお話を参考に、「動き」と「体験」という観点を取り入れてみてもいいかもしれません。

Written by:
BAE編集部