2017.02.10

AIの未来をカガクする(第2回)

そもそも、AIって一言でいうと?

こんにちは!電通テックです。

昨年からより一層注目を集めているAI(人工知能)の可能性を語る特別対談。
前回は、「情報の分類・予測・異常検知」というAIの基本から、業務の自動化による社会課題の解決手段としての可能性についてお話しいただきました。

今回は、AI inside様と弊社が共同開発した「Cam-D_はがき読み取り」について、

ご協力いただいた経緯から、企業や社会のデジタルトランスフォーメーションとは何かに迫ります!


電通テックのキャンペーン・デジタライゼーションサービス「Cam-D」について
詳しくはこちらhttps://www.dentsutec.co.jp/digital-marketing/cam-d/

渡久地 択 Taku Toguchi/AI inside 株式会社CEO。2004年より人工知能の開発をはじめる。以来10年以上にわたって継続的な人工知能の開発と資金力強化を行い、2015年同社を創業。現場の最前線でサービス開発と技術戦略を指揮し、さらなる飛躍を目指している。

福田 勝 Masaru Fukuda/1998年電通テック入社。食品、日用品メーカーやチェーンストアのデジタル、CRM、リテールマーケティング領域におけるデータ分析、施策プランニングに携わる。現在は豊富な実務経験をもとに、データ活用によるビジネス開発、ソリューション開発を行っている。
デジタル・マーケティングセンター データ・マーケティング部 デジタル・マーケター。

アナログデータをデジタル化することで見える可能性

福田

なぜ弊社と人工知能を活用したはがき情報の自動読み込み(AI-OCR) サービス開発にご協力いただくようになったのか、そのきっかけについて お話しさせていただければと思います。

渡久地

御社からお問い合わせをいただいたのは、当社としてもベストタイミングでした。

福田

それは良かったです(笑)。
弊社では年間500件以上キャンペーンをやっているのですが、そのうち8割がはがきで応募するものでした。当然ながら、キャンペーンが終わるとすべて廃棄していました。
でも、企業にとって大切なお客様から集められたはがきに書かれている情報は、個人を特定せずにもっと分析して、活用できるのではないか?もっといい打ち手を考える材料にできないか、と考えていたとき御社と出会うことができました。

渡久地

ありがとうございます。

福田

最初のお打合せで、自動読み取りは、主に手書きの口座振替用紙などを対象としていて、キャンペーンデータはまったく新しい相談、と伺いました。

渡久地

そうですね、先に名刺をAIで読み込むお話しをさせていただきましたが、 我々としてはもっとチャレンジがしたい、という思いがありました。
そこで、どこも苦戦している“手書き情報のデジタルデータ化”にAIを使えないか、ということを考えました。結果として数が多くて、プライバシーやセキュリティ環境の厳しい金融法人様の帳簿で始めることにしたんです。

福田

あえて難しい挑戦に取り組んだのですね。何か苦労された点はありますか?

渡久地

手書きの文字を、正確にデータ化することは、想像通り時間のかかる作業でした。書く人それぞれに癖が違いますから。そのため、実証実験を多く重ね、知見が溜まっていたところで、御社からご連絡いただいたということです。
応募はがきの読み込みは意外なご相談でした。

福田

「データ」といえば「アンケート」であったり「WEBログデータ」 「購買データ」はパッと思い浮かびますが、足元をみると「応募はがき」が 1回のキャンペーンで数十万枚、年間では数千万枚も集まっていて、これがデータ化できれば武器になるのでは?と思ったんです。

渡久地

自動読み取りで言うと、キャンペーンの応募はがきは、読み込むのにかなり調整が必要でした。でもそれがデジタル化できることは大きな価値ですよね。

福田

応募はがきの手書き文字にはかなり個性的なものもありますからね(笑)。
キャンペーンの応募はがきで人工知能に筋トレを重ねていけば、おそらくどんな手書き文字も簡単にデジタル化することができると思いますよ。

渡久地

いざ、はがき読み取りを始めてみるとスタート地点では見えなかった課題が次から次へと出てきて、それを一つひとつ解決してきました。もし今後同じようなサービスが出てきたとしても、先駆者として僕らが走ってきた数年はかなりアドバンテージがあると思います。

福田

御社のご協力によって、今までデジタルデータとして考えてこなかったアナログな情報が、デジタルデータとして扱えることが出来るようになりました。
そうすることで、はがきのデータと他のデータと組み合わせて新たな分析や発見もできるようになりました。

今必要なことは”デジタル・トランスフォーメーション”

福田

今、御社が今注目しているものって、他にも何かありますか?

渡久地

今、日本の企業のミッションは”デジタル・トランスフォーメーション”だと思っています。つまり、企業に存在するあらゆるデータを分析可能なデジタルデータに変換し、活用していく、ということですね。
ビジネス観点で行けば、手書きデータをデジタル化することで分析できるデータが増えることも重要だと思いますし、事業やプロジェクトがうまくいかなくなった時の検証結果が、理論的に数値として出てくることも魅力です。
さらにアナログ・デジタル含めてデータがきれいに整理されていることで、 解決策を導くスピードも速くなるというのは、働き方改善という側面でも価値があると思います。

福田

データが整理されていると、課題もスピーディに解決できる。とてもいいことですね。僕らの業界って、属人的な部分が多くて、その分野に詳しい人に自ら積極的に足を運んで聞きにいかないと得られない情報がたくさんあるんです。データの整理は本当に身近な課題です。

渡久地

そういったアナログの部分も侮れないところもありますが、やはりデジタルの部分とうまく共存する必要はあると思います。
我々が考えるデジタルフォーメーションには3段階あると思っています。
1つ目が、これまである事業の自動化と効率化フェーズ。
2つ目が、今の事業そのものをデジタル化してデータを蓄積するフェーズ。
3つ目は、AIを使いながらデータをどんどん分析して精度を高め、さらなる効率化、精度の高い事業を展開していくフェーズですね。

福田

非常に興味深いお話ですね。
3つのフェーズをそのままキャンペーンに当てはめると、
1つ目は、はがきなどアナログデータをデジタル化して分析しやすく整理する
2つ目は、そもそも応募のやり方からデジタル化を進めてデータを蓄積できる環境を構築していく
3つ目は、AIの力を借りて分析し、クライアントや生活者にとって魅力と価値があるキャンペーンに高めていくといったところでしょうか。

渡久地

マーケティング的な観点はもちろん、働き方の改善という点でもアナログデータは注目しています。
現在、御社グループの電通カスタマーアクセスセンターの方と、コールセンタ―の問い合わせ内容をデジタルデータ化するプロジェクトを進行中です。

福田

コールセンターや接客といった分野もかなり属人的な要素が強いため、効率化を求める声がある、とよく耳にします。

渡久地

音声入力がAIで自動化したら、労働時間もおのずと減っていきますし、 コールセンターの担当者と相棒となる人口知能のパートナーとなる 「デジタルレイバー」が一緒に仕事する日も、そう遠くないと思っています。

アナログデータをデジタル化することで、これまでデコボコだったデータをキレイに整理することができる。ここに大きな価値があると感じました。
身の回りにあるアナログな情報が、もしかしたらダイヤモンドの原石かもしれません…

次回は、AI inside様との取り組みや、「デジタルレイバー」という言葉を紐解きながら、AIがもたらす未来の可能性について語ります!(田代)

「Cam-Dはがき読み取り」はAIによって、キャンペーン応募はがきの情報をデジタルデータ化し、キャンペーンを次のステージへ進めるサービスです。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
https://www.dentsutec.co.jp/digital-marketing/cam-d/

Cam-Dに関するお問い合わせはこちらから
https://www.dentsutec.co.jp/contact/?id=368

Cam-Dについてはこちら

Written by:
田代 祐介