2019.10.25

「Society 5.0」における「移動」の新たなカタチとは

電通テック新入社員がゆく!CEATEC 2019レポート

今年から新入社員として電通テックに入社しました森紘一郎です。
話題の現場へ足を運び、様々なテクノロジーをご紹介しながら、若手の視点で未来プロモーションについて考察していきますので、これからよろしくお願いいたします!

さて、今回は、2019年10月15日から18日まで幕張メッセで開催された、国内最大級のIT・エレクトロニクスに関する展示会「CEATEC 2019」へ参加してきました。記念すべき20回目となる今年の開催テーマは「つながる社会、共創する未来」。IoTと共創で未来の社会や暮らしを描く「Society 5.0 (超スマート社会)」の総合展には、昨年の725社・団体を上回る787社・団体が出展し、その中でも“モビリティ”に関する出展ブースが多数見受けられ、注目が集まっていました。

今年6月に政府が発表した「統合イノベーション戦略2019」の中でも、「MaaS(マース/Mobility as a Service)」の実現によるモビリティ技術の進化について言及されており、市場規模は2030年に国内で6.3兆円、2050年には全世界で900兆円にも急拡大すると予測されているようです。

そこで、CEATEC2019の中でも「Society 5.0」の実現に向けて進化を続ける"モビリティ"の最新テクノロジーをレポートしていきます!

目次

空飛ぶクルマをVRで体験

まず、会場に入って目に飛びこんできたのは、オレンジの大きな物体。

こちらは、コネクタやセンサー、リレーなど電子部品を扱うTE Connectivityの日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社のブースにて出展されていた「空飛ぶクルマ」体験機です。米ボーイング社が世界規模で主催する技術開発コンテスト「GoFly」に出場しているrFlightチームの機体をモデルにしており、VR(仮想現実)ゴーグルを装着して実物大の模型に乗り込むと、垂直に離陸してから水平飛行に移ります。その後、ニューヨークの街中を飛び、TE Connectivityのオフィスビルに着陸するまでを疑似体験することができます。

実際に、僕も体験してみました!

NYの上空を飛行している様子。VRゴーグルを着けているので気づきませんでしたが、すごく多くの来場者に見られていたようです...

VR上でのリアルな映像と機体の上下左右の動き、さらに前方に付いているファンからの風により、本当に空を飛んでいるような感覚でした。少しだけライト兄弟の気持ちがわかった気がします。

実際の「空飛ぶクルマ」は、垂直離着陸が可能で、燃料補給や充電無しに約32キロを飛行する、安全かつ静かな超小型一人乗り飛行装置です。2020年2月にカリフォルニア州で実施される「GoFly」コンテストのファイナル・フライオフに向けて現在も研究開発中だそうです。

僕が「空飛ぶクルマ」と聞いてまずイメージしたのは、映画『バックトゥザフューチャーPART2』に登場する「デロリアン」。将来、「デロリアン」のようなクルマが実用化されると、渋滞の解消や物流への応用、また地震などの災害時や、道路や線路の維持が難しい地域における移動手段として、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。“空”という新しいフィールドを起点に、様々なビジネスが誕生していくかもしれません。

 

スマートモビリティによってもたらされる快適な移動

続いて、電子部品と車載情報機器メーカー、アルプスアルパイン株式会社のブースを取材!こちらでは、乗車前から降車後まで、移動をスマートに進化させるというコンセプトのもと、最新テクノロジーを駆使し、車内空間のあり方を変えていく「シームレススマートモビリティソリューション」を紹介していました。

次世代モビリティのコックピットを展示。未来感すごい。

カーシェアの予約や乗車を進化させる「スマートアクセス」、乗り手の好みのドライブプランを把握して自動提案する「レコメンドエンジン」や、自動運転中の車内をくつろぎの空間にする「ドライバーモニタリング」など、様々な機能やサービスを提案しており、その中でも僕がグッときたのは、「忘れ物防止機能」。乗車前時と降車時の車内を映像で比較し、忘れ物があった場合は知らせてくれる便利なシステム。今後、クルマは「持つもの」ではなく「シェアするもの」になっていくので、自分以外の人も利用することを考えると、こういった技術は地味ではあるけれど大切なのかなと感じました。

次世代モビリティに搭載されるHMIデバイスの操作性やデザインに感動!快適な移動時間を演出してくれそう

タクシーが担う「センシングカー」としての役割

タクシーが持つ価値最大化のために新たに立ち上げた「JapanTaxi Data Platform」を紹介していたのは、JapanTaxi株式会社のブース。この企業は、交通・モビリティ分野の革新をITで実現していくことを目指し、日本初のタクシー配車アプリや業界初のタブレットによるキャッシュレス化と広告配信など、新たなタクシー活用を推進しています。

社会人になりお世話になることも増えたタクシーにも進化の波が!

1日あたり平均260kmを走行するタクシー。都内を走行する日本交通の約4,600台のタクシーで、1週間に9割の道を網羅することができるそうです。そんなタクシー車両は、通常業務を行いながら、事故・工事・渋滞情報から、ガソリンスタンドの料金、駐車場の空き状況など、網羅性と鮮度の高い様々なデータを収集することができます。

また、時間帯・場所ごとの人の流れなど、ネット上のデータは異なるリアルな行動のデータを把握することも可能です。今後、屋外広告やデジタルサイネージの効果測定・分析など、プロモーション視点でも大いに活用ができそうです。

環境情報や道路状況だけでなく、服装など歩行者データまで取得できる。このデータを店舗戦略などに活かせそう

また、CEATEC2019では、20周年特別企画として自動運転の実証実験を行いました。ハンドルのない自立走行小型バスが一般の車や歩行者の通る千葉市幕張新都心の公道を走行し、来場者は次世代の新たな移動手段を体験することができました。世界の大規模展示会や国際会議では、会場周辺での自動運転が行われていますが、国内ではCEATECが初になるとのことです。

自動運転社会はもう目の前に!

今回のCEATEC取材で、モビリティの様々な進化に触れ、僕たちが思い描いていたマンガや映画の世界がすぐそこまで来ていることを改めて感じ、新しい未来の生活への想像がかき立てられました。
空飛ぶクルマの実現により、交通に"空"という新しいフィールドが広がり、スマートモビリティや自動運転の普及により、今まで限定的・制約的だった車内空間の在り方が変わり、センシングカーの活用により、時間や場所を超えたリアル行動の把握が可能になる。つまり、生活者側においても、僕たちプロモーションに関わる側にとっても、空間という概念が物理的にも感覚的にも全く違うものに変化していくと思います。
そんな変わりゆく空間概念を前提とした上で、生活者行動への理解に努めていくことが、日本が目指すべき「Society 5.0」において重要なことかもしれません。そして自分も、便利で豊かな、ワクワクする新しい社会を創造する一役を担うことができるよう、今後頑張っていきたいと思います!

森 紘一郎

電通テック 事業企画室 コミュニケーションデザイン部

現在、デジタルマーケティングやプロモーションを勉強中の25歳。学生時代は、新宿の映画館と雀荘でのバイトに明け暮れた日々を送る。最近ハマっていることは、銭湯巡りとスパイスカレー作り。熱狂的な巨人ファン。ジロリアン。

Written by:
森 紘一郎