2020.03.04 ガチャブランド「パンダの穴」の独特な企画の作り方 vol.2 第二回「カスツムリ」の企画者が語ります #クリエーター #テクニック #デザイン #商品開発 CREATIVE特集:TEC SOLUTION 「パンダの穴」の企画者に、企画の生み出し方について語ってもらう第二弾。今回は「カスツムリ」を企画した電通テックの森岡祐二と小阪紗季を迎え、どうやってこの企画にたどり着いたのか、また二人で企画をする理由などを「パンダの穴」クリエーティブディレクターの飯田雅実が聞き出します。お楽しみください。 お問い合わせ 目次 二人で企画をするメリットは? 企画はどうやって生み出しているのか? プレゼン時に自信はあったのか? ネーミングはどうやって生まれたのか? 企画の良し悪しは何を基準に判断するのか? ロジックと感覚をどう使い分けているのか? 誰に向けて企画を考えているのか? 時代の雰囲気を企画に取り入れているか? 企画を考えるとは? 二人で企画をするメリットは? 飯田 今回は「パンダの穴」で「カスツムリ」の企画をされたお二人に話をお伺いしたいと思います。 飯田 お二人には質問の内容をあえて伝えていなかったんですけど、実はこんなにありまして。 小阪 わー。 飯田 まず1つ目の質問ですが、「パンダの穴」の企画者は一人か二人のどちらかしか存在しませんが、あえて二人で企画を考えようとした理由を聞かせてください。 森岡 何でだったんだろうね。 小阪 仲良しだからじゃないですか。一緒に旅行に行くくらい仲がいいです。二人じゃないですけど。(笑) 飯田 それは感性が近いとか逆に感性が違うとか、仲いいだけでは組まないと思うんですね。 森岡 わりと、いいなと思うものが近いかもしれないです。言われてみるとそれ好きだな、とかそういうものがあるなと。 飯田 感性は近いけど、自分で気づかないものに気づく存在。 森岡 そういう目線で組もうと思ったわけではないですけど、今思うとそういうところはあるかなと思います。 飯田 それは一人で考えてる時とアイデアの広がり方が違ったりとかありますか? 森岡 それはあると思います。僕の中では年が離れている感じはしないけど、実は10歳くらい離れていて、しゃべっていると今若者はそんな感じなんだ、みたいなオジさんと若者みたいな関係性をときどき感じることがあります。 飯田 それは普段二人がそれぞれ感じる感性の守備範囲があって、二人分の感性が一つのチームになっているということですね。 森岡 かもしれないですね。今インタビューを受けて気づきました。 飯田 小阪さんはどうですか? 小阪 私は、みんなが普通に買うものなので、自分が好きなものだけを自分だけで判断するという状況が当初はあまり気が乗らず、どうしたらいいのかなと思っていました。森岡さんとやる?みたいな話になって、それだったら絶対楽しいなっていうのはありました。 飯田 普段仲もいいですし、一緒に楽しく仕事ができて、なおかつ…。 小阪 判断をするのが自分だけじゃない状態が楽しいです。 飯田 二人の判断があって、最後一つにまとめていくということがいいと。例えば二人で進めていく中で、企画の進め方はどんな感じでやりとりしてるんですか? 小阪 初めは一人一人で考えて持ち寄って、あとはお菓子を食べながら考えるとか、そっちの方が多かったですね。(笑) 森岡 そんなことでしたね。(笑) 飯田 最初にお互い企画を出し合った時に、その中でお互いがいいと思う企画は結構ありましたか? 森岡 元々ゴミをモチーフとした企画があって、それをオモチャにしたら面白いね!とか、動物はやめようか?とか、「パンダの穴」にないものがいいよね?って話していたら、ゴミとかいいかも、という話になりまして。 小阪 ゴミがいいっていう話は、意見が合いましたよね。 飯田 そこが、一人とは違う個性になっているってことですね。 小阪 そうですね。あとはリアルなものが手元にあることの喜びや、こういう小さい物が好きというのが合うんだと思います。 飯田 微妙に感性が合いそうだというのは、何となくお互い感じていたということなんですかね? 森岡 さっき小阪さんが言ったように、楽しくなるなとか、やる気が出るなとか、いつもだったらこのくらいの力しか出ないのが頑張れちゃうみたいな、そういうのはあるかなと思いますね。 小阪 あります。 森岡 力を引き出してくれる感じが、小阪さんにはあるなと感じました。 小阪 私もそうです。 森岡 引き出される感じで。 小阪 引き出しました。(笑) 飯田 例えば二人が企画を出した時に、いい悪いという判断はどうやっているのか?それは感覚的にやっているのか、理論的にやっているのか? 小阪 感覚的でした。 森岡 二人がいいなと思った企画は、いいんだろうなということです。 企画はどうやって生み出しているのか? 飯田 そんな感じの進め方をしているお二人なんですけど、今回「カスツムリ」という企画が商品化されましたが、どんな感じで企画を出して、磨いていったのか聞かせてもらえますか。 森岡 これは元々こういう企画がありまして。 小阪 ゴミに興味がありました。(笑) 森岡 ゴミが好きだったんです。(笑)親近感があるじゃないですか、こういうゴミって自分みたいだなと。 飯田 この「ゴミ人間」は、前年のプレゼンに出して惜しくも商品化されなかった企画ですね。 森岡 前回の時もカワイイんじゃないかと思ったんですけど、今回もやっぱりゴミはいいよねっていう話をしてまして。 小阪 汚いものを、オシャレにできるかなとか、キャラっぽくしてみたらどうかなっていうのがあって。 森岡 ゴミっていいよね、という打ち合わせの次の日、会社に行ったら「カスツムリ」という企画に、小阪さんが進化させてくれていました。 小阪 森岡さんが「リアルなゴミがガチャから出てきたら嫌じゃない?」みたいな話をしていて、面白いなと思ってたんですけど、それだけだと好きになってもらえないかもなと…。ゴミをモチーフにしたキャラクターにするのはどうかとカスツムリを思いつき、ラフを描いて森岡さんに見せました。 飯田 ゴミからカスツムリが生まれる瞬間ってどんな感覚でしたか? 小阪 ゴミって元々中に何か入っていたものだなって思って。 飯田 抜け殻みたいな。 小阪 この中に入っていた物を別のものにしたらどうかなと思って、あえてキモいモノ同士をくっつけてみました。カスツムリは、パッとラフを書いた時にゾワっとする感覚があって、これはいけるかもしれないと。 飯田 一番初めに思いついたカスの種類は何ですか? 小阪 初めは落花生とか枝豆の殻を背負っているビジュアルが思いついて。じゃあ中に何か入っていたものなら、何でもいけるなって思い、卵とか納豆のタレとかに発展しました。カスと呼べるものだったら何でもいいんじゃないかと思って、最初は消しカスとか、食べカスとかもあったんですけど、やっぱり中に入れそうなものがいいんじゃないかということになり、この辺が残りました。 森岡 見応えとかね。 飯田 まずは落花生と枝豆を思いついて、これだったら企画になりそうだなと。 小阪 そうですね。 飯田 よくわかりました。この企画は一人で考えていたら企画になっていますかね? 小阪 いや、なってないと思います。 飯田 森岡さんという存在がいたから、キモいものをもっとキモくできたと。 小阪 森岡さんがどう言うのかなとか、わかるかなという意識が常にあったので、それが、消費者がどう思うかというのに繋がって企画として成立させることができたのだと思います。 飯田 この企画は、どこで最終形が見えましたか? 小阪 キャラクターっぽくするため、初めは怪獣のソフビみたいにしようと思っていました。しかし、上がってきた原型がめちゃくちゃよかったので、リアルさをとことん追求してみようということになりました。モノとして見た時に、これは結構いいぞって。原型師さんに感謝です。忠実に仕上げてもらえたからこそ、よりいいものになりました。 プレゼン時に自信はあったのか? 飯田 プレゼンする時は自信があるものなんですか? 森岡 この企画は、僕はいいなと思ってました。 小阪 プレゼンの時は、これともう一つ別の企画があって、そっちの方がめっちゃウケてて、まさかこれが選ばれると思わなかったです。 森岡 僕は両方いいなと思っていて。 小阪 プレゼンの順番も最後だったので、面白いおしゃべりをしに行こう的なノリだったので。 飯田 わりと自信があったんですね。 森岡 好みがあるので、気持ち悪いという人はいるかもしれませんね。でも企画としてはいいんじゃないかなと。今までの「パンダの穴」にないものができていると思いましたし、「パンダの穴」らしさである“ちょっと変”というところは、クリアできているのではないかと思いました。 ネーミングはどうやって生まれたのか? 飯田 ではネーミングに関してですが「カスツムリ」に至るまではどうでしたか? 森岡 実は、これ僕考えてないんです。(笑)絵ができた段階で「カスツムリってどうですか?」って小阪さんから言われて、「いいね」って。「もうできちゃったね」って。だから僕は、ネーミング考えてないんですよ。で、1個1個のキャラクターの設定でも書こうかなとペンをとりました。でないと、僕の出番なくなっちゃうので。(笑) 小阪 でも「ゴミツムリ」の方がいいですかねとか、「カラツムリ」の方がゴミだけじゃなくていいですかねとか色々相談しました。カスって言葉がネガに思われるかもって言ってたんですけど、森岡さんが「いや、これはカスツムリでいいんだ」って。 森岡 そういうのは言ったかも。わりとこれに関しては聞かれたことに対しては、迷いがなく答えたと思います。ポスターのビジュアルとかも「コレとコレどっちがいい?」と聞かれたら、わりと迷うことはなかったです。それがいいか悪いかはわからないですけど。 飯田 「カスツムリ」っていうワードはどのくらいのタイミングで思いついたんですか? 小阪 森岡さんがずっと「カスっていいよね」って言ってて、たしかに、ガチャマシーンにでっかくカスって書いてあったらインパクトあるなと。100円で何が出てくるかわからない怪しいガチャがあるじゃないですか、ああいうにおいがしていいなと。それで思いついた感じですね。森岡さんのおかげです! 森岡 申し訳ないです。気を使って頂いて。(苦笑) 企画の良し悪しは何を基準に判断するのか? 飯田 アイデアが出た時に、何を基準に良い企画か悪い企画かを判断してますか? 森岡 過去の経験的に「悪い意味で、ヤバイ感じ」「良くないパターン」に入ってないかを意識することは多いですね。あとはなんだろうな、いいものはテンションが上がってくるじゃないですか。「ようやく面白くなってきたぞ!」とか、「もっとこうしたら良くなるかも!」みたいな前のめりになる感じというか、そのドキドキの感覚が来た時は、脈ありかもって思います。 飯田 ゾーンじゃないけど、何かいいものが生まれそうな時って、予感がありますよね。 森岡 ありますね、それはあります。 飯田 「ヤバイ感じ」をもう少しわかりやすく説明してもらえますか? 森岡 ちょっと理屈っぽくなっている状態かもしれませんね。理屈で考えている時って、話が複雑になっていることが多いじゃないですか。AはBで、BがCだからAはCみたいな。でも、シンプルでいいモノは、たいてい理屈じゃなくて感覚でまずわかりますもんね。 飯田 自分がいいと思えるものがなかなか生まれてこない時に、はまり込んでしまう。 森岡 はい。いいものが生まれてこないが故に、「これひょっとしたらいいんじゃないか」って、そのアイデアを屁理屈でいいものにしてしまおうとする自分が、頭の中に出てくるんですよね。 飯田 「いいんじゃないか」と思いたい。 森岡 「これひょっとしたらいいんじゃないか」と思える理由を探しはじめている時が、ヤバイ時かもしれないです。 飯田 それはクリエーターになってどの辺から気づきましたか? 森岡 ヤバイっていう感覚はわりと最初の頃からボンヤリあったと思いますね。でも、ボンヤリ感じるだけで見えていないから、ハマってしまうこともしょっちゅうでした。いつも先輩に怒られて、それを繰り返していくうちに体が覚えて、危険な感じを察知する「ヤバイセンサー」が発達してきたって感じですかね。子どもが物事の良し悪しを肌で感じて学んでいくみたいに。逆にダメなことが見えてくることで、ストライクゾーンの輪郭が見えてきたともいえるのかもしれません。 飯田 やってはいけないことを把握することで、いいものが見えてくると。 森岡 う~んとですね、失敗した「ダメなこと」と、成功した「いいこと」を、積み上げていく感じだと思います。 飯田 両方の経験値が上がることで、感覚的に良し悪しがわかってくると。 森岡 そうですね。 ロジックと感覚をどう使い分けているのか? 飯田 何かを判断する時にロジックと感覚では、現時点だとどっちを信じますか?もしくはどう使い分けていますか? 小阪 私は、何となくいいなとか何かこの状況はダメかもっていう感覚をまずは信じてみます。 飯田 はい。 小阪 性格上、感覚的に物事を捉えがちなところがあるのですが、そればかりじゃダメだと思っています。最近、先輩に積極的に仕事の相談を聞いてもらっていて、自分がなんとなくいいと思う感覚を数値化したり、言語化したりすることでよりデザインや企画の精度が上がっていくんだなと気づきました。 まずは感覚を信じてみて、でも独りよがりにならないよう、なぜそう思うのかと理論的に考えるようにしています。 飯田 自分を制御する時に理論を使ってるということですか? 小阪 はい、最近そういうことを意識的にやっています。 飯田 それは広告を作る時と商品を作る時と違ったりしますか? 小阪 商品はお客さんがお金を出して買うものなので、自分の直感を冷静な目で見ることがより大事だなと思います。 飯田 感性だけではなくて一般消費者の目を意識するということですね。 小阪 そうですね。カスツムリは、英語を使わないっていうのを決めてデザインをしました。英語を使うとレイアウト的に気持ちが良くてよくやってしまうんですけど、ガチャは小さい子も買うので、レイアウトの綺麗さに逃げないようにしようと意識しました。 飯田 森岡さんはどうですか?ロジックと感覚の使い分けは? 森岡 最初はあんまり難しいこと考えずに、感覚的に自由に考えますね。そして見直す時に、経験や知識をもとにロジック的に考えて方向性を確かめたりする感じです。あとは、これまで自分がやってきて、「いいな」と思ったもの、もしくは世の中で「いい」といわれているものに対して、こういう理屈だからいいと感じるんだなと整理しておくことは多いです。ただ、そう考えていると時々、理屈の単純なものとかは、いつかAIの方が早くできるようになっちゃうんじゃないか?なんて思ったりもしますけどね。 飯田 AIでも生み出せると。 森岡 AIについて詳しくはないですが、造語を作ったりとか、比較的シンプルなものは、考えられちゃうかもって思ったりはしますね。人が好む語感とかを分析すれば、その結果をもとに候補を絞り込んで、最終50案から最後に人が選ぶみたいなことはあっても不思議ではないなと。 誰に向けて企画を考えているのか? 飯田 なるほど。話は変わりますが、企画を考える時に誰かに向けて考えたりしますか? 例えば商品でもいいですし広告でもいいです。 小阪 一番は打ち合わせの場の人がわかるかどうかです。その場にいる人が“ハッ”っとなる企画はいい企画だと思います。 飯田 森岡さんはどうですか? 企画を考える時、誰に向けて企画を考えてますか? 森岡 広告とかのいわゆる僕たちの通常の仕事だと、商品を使う人ですかね。 飯田 ユーザーってことですね。 森岡 そうですね。広告に関しては迷ったら、クライアントの先にいるユーザーとか時代の空気を見ますね。まず身近なところでいうと、アートディレクターとか隣にいるプロデューサーに、迷ったら見せたりします。ただ、ガチャ企画は結構、企画者である自分たちのディープな感性も大切にします。もちろんガチャが好きそうな人を意識はするんですが、自分のテンションが上がってくるかが大切ですね。今回小阪さんが持ってきた企画にテンションが上がったりとか、そういう感覚の方が僕はガチャに関してはいいと思っています。 飯田 自分がいいと思ったらそれを一番に優先するというか。 森岡 そうですね。ガチャに関しては、僕はそうですね。あとから考えてみると。 飯田 広告と商品では何でアプローチが変わってくるんでしょうね。同じ企画なんだけど、だいたい違うんですよね、不思議なことに。 森岡 ガチャって、明確な機能があるわけではないですからね。極端な話、面白ければいい。だから、あまり難しいこと考えなくてもいいのかな、という感じがします。 飯田 ガチャだからかもしれないですね。 森岡 これがハンガーとかだと、使う人が抱えている課題から商品を考えますもんね。 飯田 たしかにそうですね。 森岡 ガチャはパッと見た瞬間に面白いかどうかが試されている商品だから、わりと感覚を重視しているかもしれないですね。だからキャラクターとかって、理屈でヒットさせるのがなかなか難しいのかなと思ったりします。 飯田 理論的にヒットを生み出せるかは、永遠のテーマですね。 森岡 後付けの理屈はいくらでも付けられるけど、実際に100パーセントヒットさせられますって、胸を張って言える人って少ないように思います。 時代の雰囲気を企画に取り入れているか? 飯田 あと聞きたいのが、時代の雰囲気ってあるじゃないですか。それを企画に取り入れたり意識していますか? 森岡 ありますね。 小阪 コピーとか特にそうかもしれないですね。 飯田 それはどういったところをチョイスしてますか? 森岡 よく耳にする言葉は意識します。働き方改革とかAIとか人工知能とかもあるし、あとは世界的にはトランプさんとか。例えば「働き方改革で早く家に帰れるようになるとすると、電気代は高くなるかも」みたいな、時代からくるユーザーの変化を妄想していきます。 飯田 小阪さんは、今の時代をどう捉えてますか? 小阪 SNSとかを見ると「18歳でお仕事として音楽作ってます」とかあるじゃないですか。また若者たちが早くから働く時代が来る気がしてて、もはや、22歳まで大学に行って勉強するのってもったいないかもしれませんよね。 飯田 今スポーツの世界でも10代が世界一になったりとか、世界と同等に渡り合って十分力があったりするよね。 小阪 パワーがある。 森岡 10代は確かに想像以上のパワーがあるんですよね。今、活躍している人で言うとどんな人ですかね? 飯田 ここ最近だと将棋の藤井聡太君とか、卓球の張本智和君とか、若くして大人と対等に勝負してますよね。 小阪 今はスマホがあるので、世界で起きてるいろんなことを知る中で、自分ってこれくらい凄いかもという感覚がどこにいても測れるし、何歳でも測れる。それが「これ行けるぞ」みたいなパワーにつながってるのかなって思います。自分がどのくらいの位置にいるか、わかることっていいなと思います。 飯田 時代の何かを感じて、それを企画に生かしたりというのはやってますか? 小阪 ウェブコンテンツや、Twitterキャンペーンなど、どの企画にもデジタル上でどういうことをやるのかというお題は絶対入ってくるようになっています。今SNSでは何が話題になっているのか、常に新しい情報を知っておくことは意識しています。 飯田 世の中の動きを知った上で、それをどう利用するか、逆にそれを無視するかは、結局世の中の動向を察知する力がないとできないと思います。 企画を考えるとは? 飯田 最後の質問になりますが、お二人にとって企画を考えるということを、どう捉えているか聞かせてください。 小阪 私はADですが、面白い企画を見ると、面白い!悔しい!と思います。(笑) 企画を伝えるデザイン、デザインを伝える企画というふうに、どちらも単独では成立しないので、両方できるようになれると一番いいなと思います。今はとにかく修行みたいな感じです。毎日素振りしてます。 飯田 素振りを重ねてフォームを固めると。 森岡 正直、よくわからないんです。(笑)でも、「料理を作って客を笑顔にする料理人」みたいな、素朴なやりがいを大切にしたいなと、最近つくづく思います。だから仕事を頼んでくれた人を喜ばせたいという想いが結構強いです。仕事というより、人を見て働きたいタイプなのかもしれませんね。それは大きな仕事でも、お金にならなそうな仕事でも、さほど変わらないです。そういう小さな笑いからはじまって、結果的に自分も、世の中も、良くしていけたらいいなと思っています。 飯田 そろそろ時間のようなので。本日はどうもありがとうございました。 小阪 ありがとうございました。 森岡 ありがとうございました。 森岡祐二 株式会社 電通テック コピーライター 「パンダの穴」では「山本(ヤマホン)くん」の企画者であり様々な企画でネーミングやストーリー開発に参加。通常はコピーライティングを中心に広告領域において様々な制作物を手掛けておりOCC賞など広告賞を多数受賞。 森岡社員出演「広告×オノマトペ」対談記事 小阪紗季 株式会社 電通テック アートディレクター 「パンダの穴」では今回初めて企画者となる。通常はアートディレクションを中心に広告領域において様々な企画制作に参加。ヤングカンヌデザイン部門、プリント部門のファイナリストなど。 インタビュアー飯田雅実 株式会社 電通テック シニアクリエーティブディレクター 広告領域で様々な企画制作を行う中、数多くのプレミアムグッズを手掛けたノウハウを活用し2013年ガチャブランド「パンダの穴」を株式会社タカラトミーアーツと立ち上げる。「パンダの穴」は累計3,500万個を突破し台湾など海外へも展開。国内外で活動のフィールドが広がっている。広告賞を多数受賞。 電通テック パンダの穴 第一回はこちら Written by: BAE編集部 関連記事: なぜ、ガチャは50年も生き残ったのか?(前編) なぜ、台湾は「ガチャ」に夢中なのか?(前編) なぜ、外国人旅行者は空港でガチャを買うのか?