2020.02.14

IoTの可能性を拡張する「極細ワイヤーセンサー」のポテンシャル

ヘルス・スポーツ・見守りとその利用シーンは無限大

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  • モーションや温度、速度、傾き……さまざまなセンサーがIoTで活用される時代になっています。その中で注目したいのが、衣服などの柔らかな物質にも織り込むことが可能になった直径0.5mmの「極細ワイヤーセンサー」。ヘルステックやスポーツテックという分野にも大きな発展をもたらしそうです。この極細ワイヤーセンサーを取り扱う、ロボセンサー技研株式会社の代表取締役 大村昌良さんに、センサーの可能性について伺いました。

    目次

    極細のワイヤーセンサーが曲面や極小面での計測を可能に

    ——「極細ワイヤーセンサー」は触覚センサーの一種とのことですが、あらためて「触覚センサー」の特色はなんでしょうか。

    触覚センサーとは、人や物が触れたときの強さや振動をキャッチして計測するセンサーです。すでに一般に浸透している、指紋認証やタッチで動作する操作などにも使われる技術です。弊社では従来からある、電圧を使うピエゾ電線センサーに改良を加え、しなやかで直径0.5mmと極細のケーブル状の触覚センサーを実現しました。

    (左)実際の極細ワイヤーセンサー、(右)ロボセンサー技研株式会社 代表取締役 大村昌良さん

    ——極細ワイヤーセンサーの特徴を教えてください。

    細くしなやかになったことで、巻き付けたり、長さを調整したりして、さまざまな場所へ設置できるのが1つめのメリットです。2つめは、ピエゾ電線センサーの特性でもありますが、自己発電で信号を発生するので充電やバッテリーが必要ないこと。電源のとりまわしやバッテリーを心配する必要がありませんから、センサーを設置できる場が広がります。

    3つめは見当性能の高さです。触覚も音も「振動」ですからワイヤーセンサーでインプット可能ですが、これまでの技術では電磁ノイズ(例えば電灯線からの50/60Hzノイズ)も拾ってしまい、脈拍・呼吸・体動のような単純で低周波域の振動の取得にしか向きませんでした。弊社では独自のノイズ処理によって広帯域・高ダイナミックレンジでの信号計測が可能になり、よりノイズの少ないクリアな音や振動を取得できるようになりました。

    ワイヤーを巻き付けた場所からのみ高精細マイクのように音を拾い、接触部以外からのノイズをまったく気にせず使えるため、これまではマイクやセンサーで検知することが不可能だった騒音の強い場所や屋外の厳しい環境でもセンサーを活用できるようになったのです。

    ——センサーの具体的な利用シーンを教えていただけますか。

    1つは、生産現場などの、産業・ロボット分野です。人間の繊細な指の感覚をセンシングして動きを視覚化したり、フィードバックを得てロボットハンドなどを遠隔から人間が操作したり、といったことができるようになります。

    もう1つは物流業界で、ここでも利用が進んでいます。物流の巨大倉庫ではベルトコンベアが正常に動くことは業務遂行の根幹になります。そこでローラーの点検・寿命予測は欠かせませんが、検査のためにラインを止めることはできず、いまでも熟練者が打音診断などを行っています。

    しかし、ワイヤーセンサーであれば、極細で、かつしなやかなため、検査対象の部品そのものにセンサーを設置することができます。これにより、AIを取り入れたリアルタイムでの検査や不具合予測が可能になりました。交換部品需要の予知や適正なメンテナンスといった用途で、ワイヤーセンサーの活用がさらに進むでしょう。

    そのほか、設置容易性に優れるからこそ、局所だけでなく広い範囲をカバーして検知をすることが可能なため、コンビナートのような大規模で危険を伴う巨大工場や、鉄道、橋、電気や水道の地下設備、インフラ設備などの部品検査に求められるニーズも多くあります。

    ——実際に引き合いが多いのも、生産現場や物流などの分野になるでしょうか。

    そうですね。検査や予防診断を無人化したいニーズは建築、道路、工場をはじめ、さまざまな現場にありますので、現在非常に引き合いのある分野です。

    また、教育的な側面でも可能性を秘めています。例えば医療現場では、外科手術の際のドリルやメスをもつ手の感覚や動きを、触覚センサーを使って記録することで、若手医師の研修や訓練に生かすことができます。

    同じ医療業界で言いますと、手術ロボットのフィードバックにも「触覚センサー」が利用できます。現在の手術ロボットにはカメラセンサーが活用されていますが、手術中の状態というのは患部がそんなに見えるわけではなく、執刀医はかなりの部分を「手の感触」に頼っている部分もあります。そこで触覚をフィードバックできれば、より確実で直接手を触れているのに近いオペレーションの感覚が得られるようになるはずです。

    衣服に実装することで、ウェアラブル製品に真価を発揮

    ——センシングの技術発展は、IoTの分野にも大きな影響を与えています。ワイヤー状の「触覚センサー」もIoTへの活用機会がありそうですね。

    まだ試験段階ですが、衣服や敷物などにセンサーを織り込むことも、将来的にはもちろん可能です。裁断・縫合したり、折り曲げもできるので、人がまとうウェアラブル製品にも適しています。

    洗濯や潜水も可能なので洋服にしたり、手袋やユニフォームなどの衣類として着用したり、ロボットに装着させるようなこともできます。

    ——具体的にはどのような分野で利用できそうでしょうか。

    スポーツ分野であれば、手や足の動きをはじめ、スポーツ選手のさまざまな体の動きを計測することが可能です。実際に、当社でもシューズの靴底での足裏圧力の計測を実現しています。エンタメ的な側面では、例えば、ラグビーの試合で選手にセンサーを織り込んだユニフォームを着用いただき、タックルなどの実際の衝撃を疑似的に視聴者も体感できる、という体験型エンターテインメントも考えられます。

    ——ヘルステックの分野ではいかがでしょうか。

    触覚センサーで振動が計測できることは知られており、以前からヘルステック製品などで、ウェアラブルデバイスにして脈拍を測った事例はありました。ただ、音声データを触覚センサーで直接計測した事例は、当社が世界初と自負しております。マットの中にケーブルを織り込んだ触覚マットを利用すれば、ペットの運動量や子ども、病人などのケアモニターとしても利用できると考えております。ベッドシーツにセンサーを搭載した見守りシートは、既に実現しています。また「見守り」的な使い方を発展させて、不法侵入などの感知や防犯センサーとしても活用できそうです。

    ワイヤーセンサーの発展と今後の課題

    ——触覚センサー、ワイヤーセンサーの課題はあるでしょうか。

    やはりいまはコストですね。先ほどお話ししました通り、センサーを布に織り込むことも技術的には実現可能なのですが、縦糸・横糸とワイヤーセンサーを編んでいくと、膨大なセンサーが必要となり、コストも増していきます。量産体制を実現し、更にセンサーの価格を下げていくことが、これからの目標ですね。

    ——今後はどのような技術的発展を遂げていくと思われますか。

    AIや高度なロボット技術を利用する上で、入力センサーの感度が上がれば計算の精度も上がり、より賢く正確な分析が実現します。

    一段階レベルの高い高精度センサーが出ることで、それを使って繊細な振動から異常を検知したり、命に関わるような医療行為にも使えるようになり、これまではできなかった技術への応用が可能になると考えています。それに伴い超高感度センサーのニーズは、今後大きく伸びると期待しています。

    IoTの分野では、電力消費を抑え長期間丈夫で使える製品が求められているため、低電力で高性能な極細ワイヤーセンサーによって、これまでになかったIoTセンサーの利用方法が生まれてくることも期待しています。

    すでに弊社から特約店契約を経てエンドユーザー企業への販売は60社以上へと日々拡大しています。トリリオンセンサー社会の到来に向け、人手不足を解消する無人化や省力化といった領域から、さらには医療・福祉、エンターテインメントまで伸ばしていくことを目指します。


    センシング技術も進化&多様化が進む中で、この極細ワイヤーセンサーはIoTの新たな可能性を開いてくれそうです。衣服など、これまでにはない場所にセンサーを実装することで、取得するデータの種類、質なども変化していくでしょう。コストなどの課題を乗り越えて、IoT分野が今後新しい展開を見せてくれることに期待しています。

    Written by:
    BAE編集部