2020.05.21

耳から始まるイノベーション。見直される「音声」の価値

テーマ別まとめ記事:「音声」編

情報流通量が増加していく中で、耳に届く「音声」情報の可能性が注目されています。声で動作するAIアシスタントやIoTデバイス、声から顧客の気持ちを分析したり、コミュニケーションを促す技術など、さまざまな近未来的なマーケティングのヒントが詰まっている「音声テック」の世界。これまでのBAEの記事から、「音声」にまつわる記事をまとめてご紹介します。

目次

コンテンツとしての音声の可能性

テレビに対するラジオのように、聴覚メディアは視覚メディアに比べ、従来から、届け手と受け手との間に親密度の高いコミュニケーションが生まれ、濃いコミュニティが形成されやすいという傾向があります。企業と一般生活者の関係性があらためて問われる現在、音声コンテンツが有利に働く場面もありそうです。

掲載日:2019.12.11
音声テック業界——2020年は「声で稼ぐ」時代に?
「音声インフラ」は整備され、本格的な音声サービス元年に

2019年は、AmazonやGoogle、Appleの音声系ガジェットの新製品が相次いで発表され、GAFAにおける「音声系プラットフォーム」に対する本気度が表れた年になりました。
音声を使ったメディアのメリットは、コンテンツにかけるコストが低く短時間で制作できることです。そのためクオリティの高い情報を提供する専門家/プロの参加とそのファンが増えています。また、ふだん耳にする音声の相手に対して、ユーザーは「本人性」や「人間味」を抱きやすいものです。このように声コンテンツは好感度も上がりやすいことから「声の社内報」や「声広報」のように企業の文字コンテンツを音声に置き換える動きも出ています。

掲載日:2019.03.08
特定の人に音声を届ける「指向性スピーカー」の活用法
小型化によりプロモーションの選択肢が拡大

指向性スピーカーとは、範囲を絞って音を届けることができる製品。超音波がまっすぐ飛ぶ特性を生かして生まれました。一方向にだけ音を流せるため、騒音のある場所などでも、ピンポイントで音を届けることができます。最近では、指向性スピーカーの小型化が進み、より活用の範囲が広がっています。
具体的な事例としては、バスや駐車場でのガイダンス。また静かな美術館での音声ガイドとして利用すれば、これまでのようにガイド用の無線機を持ち歩く必要もなくなります。デジタルサイネージやポップアップストアなどで使えば、目の前のユーザーにのみ音声を届けるため、必要な人にのみしっかりと商品情報を届ける、道行く人に立ち止まってもらいたいときなどに大きな効果が生まれるでしょう。視覚情報やAIによる顔認証などと組み合わせることで、よりパーソナライズ化した音声情報を届けるといったアイデアの活用も期待されています。


掲載日:2019.06.05
AIによるリアルタイムボイス変換技術が実現する「声のソリューション」
「VTuber」だけではない音声変換の活用シーン

AIによる機械学習を活用した「リアチェンVOICE」は、話し声を、声優などの好みの声にリアルタイムで変換することができる「声質」変換技術です。通常のボイスチェンジャーと異なり、元の声の抑揚や自然な発話を生かしたまま、他の声に入れ替えられるため、テーマパークのキャラクターへの活用や、「声のエンターテインメント市場」への活用が期待されています。ホテルやイベント会場での接客やアナウンスなど、より実務に近い場所でも好感度や注目をひく技術として期待できます。

注目が集まる音声のプロモーション・マーケティング

従来は音声広告といえば、ラジオ番組のCMが一般的でした。現在は、SNSや音声配信サービスなど、露出先はさらに多様化しています。さらにリスナーの位置情報に合わせての広告の出し分けするといったパーソナライズ化も可能に。「音声」広告ならではの優位性やノウハウについて取材しました。

掲載日:2019.04.24
SNS時代の音を活用したマーケティングとは
期待されるZ世代へのアプローチ効果

「音」や音楽で行動に変化を促す、それが「サウンド・マーケティング」です。古くからある、耳にすればそのブランドが想起されるサウンドロゴやテーマソングといったものも、やはりサウンド・マーケティングの一種。音には「人間が直感的に反応しやすい」「感情を想起しやすい」という特性があり、日常のすきまでの生活者とのコンタクトポイントとして現在、再び注目されています。ASMRなど「音楽」に限らない音声コンテンツの登場も、最近の潮流と言えるでしょう。
SNS動画の視聴時間の長いZ世代は、音を使ったコミュニケーションが増えており、サウンド・マーケティングの効果が期待できます。ベンチャー企業では、音楽ビデオを使ったブランディングに成功した例もあります。ただフレーズを大量に流すだけではメッセージが受け取られなくなっている時代、TikTokやSNS動画のような短時間で、文脈の利いた音声によるアプローチをすることが、成功のキーとなるでしょう。


掲載日:2020.02.12
デジタルオーディオアドが切り拓く、プログラマティック広告と音声文化の新時代
リターゲティングや位置情報で耳と心に届く仕掛けに

音声テックの普及やスマートスピーカーの所有率上昇とともに注目されているのが、「デジタル音声広告」。先行するアメリカでは市場規模は2400億円(2018年)と順調に伸びています。
オーディオアドの配信先は、サブスクリプション型音楽配信、地上派サイマルのラジオなどの放送、ポッドキャストのようなストック型コンテンツの配信の3分野。完全聴取率が高いことやブランド周知などに効果が高いなど、メリットは多くありますが、Web広告以上に精緻なターゲティングが可能であることは特筆すべきポイントです。個人の属性やいる場所、シチュエーションなどに合わせて配信したり、さらにはリターゲティングやAIDMAを意識したクリエーティブの出し分けでアクションを促すなどの可能性を秘めています。

音声から生活者の感情を分析する

声に宿る人間の感情をAを活用して読み取り、マーケティングや社内の労務管理などに生かそうという動きも出てきています。AIによる学習や音声分析によって言葉にはでない感情をくみ取り、最適な提案を行うことも可能になってきました。

掲載日:2018.11.21
「音声感情解析」が可能にする次世代コミュニケーション
感情からのアプローチにより成約率の向上にも!

人工知能と独自アルゴリズムを使い、声の調子から人間の感情を可視化できるサービスが、メンタルヘルスや保険・健康業界などですでに利用され始めています。健康管理や事故率の低下などに役立つことが実証されたのち、最近では、顧客の声色から販売員が局面を把握し、マーケティングやプロモーションの現場で発揮することもわかってきました。感情解析によって、人間の本音や感情に応えられるロボットやスマートスピーカーの登場など、未来のサービスにも活用されそうです。


音声コンテンツの可能性は十分に認識され、音声を届けるデバイスも出揃い、現在は音声を実際にどのように活用していくかという、実践の段階に入っています。情報をインプットする器官として、「耳」はまだまだブルーオーシャン。「本人性が宿る」「視覚を邪魔せずに情報を届けられる」「Z世代との親和性」など、音声情報の特性を掴み、プロモーションやマーケティングへと活用してみてください。

Written by:
BAE編集部