経済発展が急速に進むアジア。10代の頃からインターネットに慣れ親しみ、新しい消費トレンドの牽引役である各国のミレニアルズのライフスタイルとは?
タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、シンガポール、中国の6か国の現地BAE特派員が各国の若者のデジタルライフをリレー形式でお届けします!
最終回は、上海在住のBAE特派員のMaggyさん。古くから国外に向けて開かれ、中国でありながら異国の雰囲気も漂う街、上海。この街でいま注目のエリア、静安寺界隈でバリスタ兼セレクトショップの店員をしているMaggyさんが、中国の若者の今を紹介します。中国は現在急速にスマホ決済によるキャッシュレス化が進んでおり、若者だけでなく、シニアの人でもスマホを使いこなしながらスピーディに買い物を楽しんでいます。現在の上海ミレニアルズのデジタル事情をさっそく見ていきましょう。
中国では今、ほとんど現金を使っている人はおらず、「微信ペイ」や「アリペイ」などの決済システムが主流です。その背景には、PCを通り越して急速にスマホが普及したことがあげられます。スマホアプリさえあればキャッシュレスで便利な上、映画のチケット購入からホテルの予約、シェアサイクルからチャリティまで、ほとんどのことが出来てしまうというのがその理由です。さらに、Maggyさんたちの若い年代は支払いの際の“スマートさ”の要素も求めています。自分が働く店で買い物をしてくれる大切なお客さんの支払い方法はなんでも歓迎ということですが、プライベートで現金を出している人を見ると“ダサい”と見えてしまうようです。
一般的に、例えば美味しいレストランを探す時には、「大众点评」などの評価アプリを見れば多くの口コミが書かれていますが、Maggyさんは「話題になっているお店だから、といった理由でお店を決めたりはしない」と言います。彼女のように90年代生まれの中国人の若者は「90后(ジューリンホウ)」と呼ばれ、80年代生まれの「80后(バーリンホウ)」がブランド志向なのに対し、ブランドへのこだわりがなく、自分の感性を重視するパーソナライズされた価値を求める世代、と言われます。つまり、食事をする店選びにも、自分なりの選択基準が設けられており、トレンドに従うようなことはあまり無いのです。
Maggyさんはバリスタ・ショップ店員という職業柄、昼間はお客さんの対応で忙しく、休憩の際にゆっくり外食することはできません。そこで愛用しているのが、フードデリバリーアプリ。元々電話で注文するデリバリーサービスが発達していた中国において、スマホのアプリに取って代わるのは自然な流れだったと言えます。わざわざ買いに行かなくても、自分のお気に入りの店の食事を運んできてもらえるという便利さから、Maggyさんは毎日使用しているそうです。お気に入りのアプリは百度(バイドゥ)による「百度外売(バイドゥワイマイ)」で、チェーン店だけでなく、こだわりの料理を出す店やお気に入りの店も登録されているから使用しているとのこと。百度と同様にフードデリバリーサービスを展開する阿里巴巴集団(アリババ)、騰訊(テンセント)を含めた3社は、その頭文字から「BAT」と呼ばれ、中国のインターネット業界の中心的存在となっています。
スニーカーとストリートウェア、そして本格コーヒーを出す店でバリスタとして働く。好きな食べものは海南鶏飯(シンガポール風チキンライス)や四川料理で、デリバリーアプリでもよく注文する。年配者向けの麻雀アプリで対戦するのが趣味の90年代生まれ。
◆職業:バリスタ兼セレクトショップ店員
◆家族構成:友人4人とシェアハウス住まい
◆月収:秘密❤
◆普段の買い物場所:最近おしゃれな店の多い静安寺エリア。路地で自分好みの新しい店を見つけるのが楽しいため、ショッピングモールなどではあまり買い物をしない
◆使用しているパーソナルデバイス:iPhone6。PCはあまり使わない
◆将来の夢:コーヒーの勉強のため、オーストラリアのメルボルンに行きたい。日本の純喫茶もこだわりのコーヒーを出すと知り、最近は日本にも行ってみたいと思っている